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まぁ、頑張りましょうか。【学生編】  作者: 和水 璃雨
三章 学園編 中等部
84/2202

81話 頂きにいきますか。


応接室かぁ…行くのは初等部の時(正確に言うとリアマ嬢の…詳細はあまり言いたくないアレな事件)以来だな。


「つか、警備の人には何て説明するんですか?エヴァンジル様に会いたいってだけだと全力で門前払いされますよ?」


「だぁーいじょうぶだって。俺を誰だと思ってんの?ちゃんと差し入れを渡すと言う大義名分を立ててきたから。」


ちゃっかり職権乱用してやがる…。


「…それだと、先生しか中には入れませんよね?私を連れていくのはなんの意味が…。」


「聞いた話だと、聖女に近付くのとか触れられる唯一の存在は穢れていない身の清い処女だけなんだと。俺は差し入れを持っていく係りで、お前は聖女さんの前に茶ァとか菓子とかセッティングする係な。…もしかして、お前もう「さあ、さっさと逝き…行きましょうか先生。(ニッコリ)」つい出来心で…悪かったって、怒るなよ。」


…全く、女性にそう言う事を聞くとか失礼きわまりないですね。


あと、女心には気が回らないくせに変なとこ気が回るのが言うかなんと言うか…アルベロ先生って本当に残念な人なんだなぁ。


「夜風。なんだ、その憐れみの目は。」


「気のせいでは?」




コンコン――


先生が応接室のドアを軽くノックをして、奥から小さく「はい。」と聞こえたので、ゆっくりとドアを開けた。


「失礼します。聖女エヴァンジル様、差し入れのお茶とお菓子をお持ちしました。」


「あら、わざわざありがとうございます。」


目の前にいたのは、濃紺の修道着を身に付け、柔らかいマロンブラウンの髪の毛をショートヘアーにし、口元には微笑を携えている美女がいた。


「…おい。」


おっと、エヴァンジル様に見惚れてしまって名目上の役割を忘れるところだった。(先生に小突いてもらってやっと気付くとか…我ながら不覚。)


なるべく食器をカチャカチャ言わせないように、尚且つ中身をぶちまけないように素早くエヴァンジル様の前に取りやすいように置いていく。


「あらあら、若いのに凄いわねぇ。」


「いえ、そんなことは…。でも、お褒めに頂きありがとうございます。では…っと。」


「あの、聖女様?実は折り入って頼みがあるのですが…。」


私が踵を返す前に、先生がすかさず本題を切り出した。


やべぇ、なんかこう流れ的なので普通に帰ろうとしてしまった。ここまで来たのは、目的が別にあるからだった。(また先生にフォローを…悔しい!)


「頼みとはなんのことですか?」


「とある事情がありまして、聖女様の髪の毛を一本ほど頂戴したいのです。」


「ああ、そう言うことですか。良いですよ?…はい、どうぞ。」


やけにサラッとしてるな…ってか良いんかい!


「…夜風、受けとれ。(ボソッ)」


「はっ…あ、有り難く頂戴いたします。」


「この髪の毛にはちょっとした加護を付けといたので、あなた方の手助けをしてくれますよ。」


凄まじいな聖女の髪の毛。いや、どちらかと言ったら聖女の信仰の力が凄いのか?(人間、一度思い込むと、その力は物凄いからなぁ。)


「では、本当に失礼します。…私達の願いを聞き入れてくださり、誠にありがとうございました。」


「私の両の手が届く範囲内であれば、出来るだけ皆様の手助けをしたいだけですよ。」


え、笑顔が眩しい!エヴァンジル様に後光が差して見えるわ!




さて、応接室から大釜のあるアルベロ先生の実験室へ向かう途中に寄った薬剤準備室で乾燥した緑玉草をゲットしようと、(さなが)ら盗人のようにコソコソと棚を探していたら、小さなガラスの小瓶と透明なプラスチックケースに入った緋色の鱗…ぽい物を発見。


「先生、これってもしかして…。」


「もしかしなくても、水精霊の涙と火竜の鱗だ。…そう言えば、緑玉草に《太陽の愛し子》とこの二つ混ぜて変な術式を使って合成したら育毛剤が出来るんだったな。」


《太陽の愛し子》と言うのは、オレンジの果実のような見た目だが、実はとあるモンスターの卵と言う…アレなアイテムである。


「あー…薬学担当の先生って、確か額のラインが段々後退していっていたような…。」


「この際だし、俺らが必要な分だけ貰っていくか。」



名前を忘れた薬学担当の先生、なんかその…色んな意味ですみません。




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