80話 呪いを解くには…。
どーすんだよこの状況マジどーすれば良いんだよ!
「少し落ち着け夜風。さっき見せた指環の事が書いてある紙に、この指環の外し方が載ってる。」
「それを早く言ってくださいよ先生!」
先生の手から指環の取説(ぽいモノ)をジャンプして奪い取り、ザァっと自分でも確認してみた。
「えっと…大釜の中に、乾燥させた《緑玉草》を十本に《水精霊の涙》を一滴、《火竜の鱗》を二〜三枚に《大地の結晶》を磨り潰したやつを一摘まみと《聖女の髪の毛》を一本以上入れ、釜一杯に水を入れて温める。」
緑玉草は薬草の一つで、草自体がエメラルドの様にキラキラと透き通って輝いているのが特徴だ。乾燥させたものを煎じた薬草茶はビタミンやらミネラルやら栄養が豊富に含まれていて健康にとても良いのだが、その薬草茶はとても苦いくてクセがかる。砂糖や蜂蜜とかを入れても、相当な物好きでない限りとてもじゃないが飲めたものではない。(昔一口だけ飲んだことはあるが…うん、なにも言わない。)
水精霊の涙と火竜の鱗は、読んで字の如くってやつ。そこら辺詳しいルナさん曰く、どちらも主に錬金で使ったりするアイテムらしいが、入手困難なために貴重でお値段も張るために滅多な事がない限り授業では使わないそうだ。(昔、ルナさんやソルさんが暇潰しでやっていた『高過ぎて手が出せない素材アイテムランキング』なるもので、この二つのアイテムがそこそこ上位に食い込んでいたので覚えてた。)
大地の結晶は、大地に元々存在されている微量の魔力を長い月日を経てゆっくりと琥珀とか茶色の宝石の中に蓄積していった物である。何で茶色の宝石かと言うと…実を言うとまだ分かっていない。本当に不思議だよね。
「緑玉草から大地の結晶までの素材アイテムは学校の方にストックがあるから、それを何個かパクればいいな。…凄くどうでも良い情報なんだが、緑玉草は合成する材料によって育毛剤になるから髪の生え際や分け目が気になる先生達に人気の薬草でな、ストックがこれでもかって程あるぞ。」
「果てしなくどうでも良い上に必要性のない情報ありがとうございますアルベロ先生。…と言うか、こう言う素材とかって黙って拝借…パクっちゃっても良いものなんですかね?水精霊の涙と火竜の鱗に至ってはかなり高価なので黙って持っていったらヤバいんじゃ…。」
「なぁに、こっちは緊急事態だから多少は大目に見てくれるだろ。あと、高価なアイテムをパクっても黙っていればこう言うのって大抵バレないから安心しろ。」
…色んな意味で安心できねぇよソレ。つか、一応先生な人がそんなこと言っていいのか?
…疲れたから、この事についてはあまり考えないようにしよう。
「問題は、聖女の髪の毛の方だよ。聖女って言ったら、宗教に身も心も捧げた女性の事だろ?そう言う奴って、大体は俗世からの穢れを受けないように隔離されて生活するし…どーすっかねぇ。」
聖女…聖女…ん〜、何か重要な事を忘れているような気がする。
「先生、ここら辺に居る聖女様の名前って何て言うんですか?」
「確か…えっとなぁ…エヴァンジルだったようなエヴァなんたらだったような……あ、思い出した。エヴァンジルだ。それがどうかしたのか?」
エヴァンジル…聖女…あっ!
「先生。その聖女エヴァンジル様、今うちの学園に来てますよ。」
「マジで?つか何でまた。」
「そんなこと、生徒の私が知っているはずないでしょう?…聞いた話によると、何かうちの学園に講演会的なものをしに来るみたいで…。恐らく、この気を逃したらほぼ一生この呪いに苦しめられる事になるかと…。」
うわ、考えたら悪寒がしてきた…。別に、アルベロ先生が嫌いな訳ではないのだが、何か…このまま呪いが解けないままで行くと、絵面的に先生が物凄く犯罪者っぽく見えてしまうのだ。
「聖女様がうちの学校に来てるとか好都合だな。…よし、さっさと行って髪の毛貰ってくるか。どうせその人が居るのって応接室だろ?」
「だから、そう言う事を生徒の私に聞かれても知りませんって。」




