79話 こんなお約束は要らん!
まだ『影の精霊』とのコラボは続きます。
「まあ、何とか捕獲できたわけですが…あなた何者なんですか?」
黒いデフォルメされた小人の首裏を掴んで、プラプラさせつつ尋問…ぽい事をしてみた。
「うぅ、体は痛くないのに精神的に辛いわぁ。…にしても、お姉さん結構大層な下着を…もがもが。」
「貴方は何者かと聞いているのはこちらなのですが?横道に逸れないで真面目に質問に答えてください。」
何かとんでもない事を言おうとしてたので、黒い小人の口を思いっきり手で塞いだ。(物理攻撃効かないみたいだし、ちゃんとした生物じゃないみたいだから大丈夫だよね?きっと大丈夫って信じてる。)
「なぁ小人よ、夜風はどんな下着を…っと危ねぇな、不意打ちでいきなり蹴るなよ。」
「アルベロ先生、それはセクハラです。それ以上言うようなら裁判起こしますよ?」
ったく、13歳そこらの女子の下着を知ってなんの得が…は、まさかアルベロ先生ってロリコンなのか!?
「勘違いするな、俺はロリコンじゃねぇ。」
「じゃあ何で私の下着を知ろうとしたんですか?」
「いや、何となく。」
何となくで裁判沙汰起こすのかこの教師は。尊敬はできないけどある意味スゲェ。
「因みに、女の子の下着の色はもがもがもがもが…。」
先生を蹴った反動で、口を塞いでいた手が外れて、またとんでもない事を言おうとしたので、また思いっきり塞いだ。
本当に黙らっしゃい、この家庭内害虫代表の黒くてすばしっこいアレに激似の小人が。踏み潰すぞコノヤロウ。
「(殺気!?え、このままだと僕マジでこの女の子に殺られる!?)えと、僕が何者かって話やね?
僕は影の精霊って言うんや!属性は、光から派生したさかい光に近いで。こんなんでも一応契約者持ちの精霊なんやで!どや、凄いやろ!」
ええー、こんな…良く見たら結構可愛らしい顔をしている小さい小人が、主持ちの精霊だったのか。…だけど、どうしてそんなアレなやつがこの学園に?何かあるのこの学園。
「で、何でここに居るかと言うとな?実は僕…ここら辺でご主人と逸れてしもうたんや!そんで、もし逸れたら僕が居た場所とその周辺に呪いのアイテムを置いておけば見つけに来てくれるて…。昔ご主人が言っていたんや。(言っていなかったような気もせんでもないけど…それは、あの女の子が怒りそうやから言わんでも良いよな?)」
そんで、この禍々しいオーラを纏った指輪を置いていったと…。
「その指輪なんやけど、アイテム名を《契りの指環》言うてな、えと…詳しくはこの紙の束に書いてあるから僕はそろそろ行くな!ご主人の気配したし。ほな、さいなら!」
「あ、ちょ、待てコラ!」
急に淡く発光したかと思ったら、いつの間にか影も形もなく…悔しいが、流石影の精霊。一応精霊と名乗っただけあり、一瞬で消えやがった。
「それは良いや。先生、その紙束には何が書かれているんですか?」
「えっとなぁ……おお、これはこれは。」
何と書かれていたのだろう?私には高さと光の関係で良く見えない…。先生、身長がっつり20cmくらい縮めば良いのに…。そして、縮んだ分を私にくれれば良いのに。
「どうやら、この指環をどこの指でも良いからつけて、互いの魔力を…例ば接吻とかして混ぜたら契約完了して、契約した者同士が100mそこら離れなくなったり、何か目を瞑ると契約した者の片割れの顔が浮かんだりするらしい。」
「へぇ…!?バッ(自分の両手を確認中)…ほっ、良かった付いて…憑いていない。」
「誰が上手いこと言えと…。」
煩いですね、ちょっとしたお茶目なジョークではないですか。
「先生の手には……え?」
「俺の手?……あ。」
先生の左手の薬指にバッチリと鎮座した指環が、妖しげに鈍く光った。
「…ねぇ、先生。私達って、事故とは言え元々魔力混じっていますよね?」
「…そうだな。」
「この場合って、契約完了しちゃうのでしょうか?私指環付けていないのですが。」
「完了しちゃうんじゃねぇの?試しに、軽く目を瞑ってみたらお前の顔が浮かんだし。」
試しに私もやってみたら、何故か不覚にもときめいた瞬間のアルベロ先生の姿が次々と浮かんで来て…。やめて!と思うほどアルベロ先生の姿が湧き出る泉の如く浮かんでくるとか虐めか。
……。
「先生、今から大声をあげるので耳を塞いでいてください。」
「りょーかい。」
よし、先生がちゃんと耳を塞いだのを確認できたぞ。(ついでにデケェ欠伸を噛み殺したな。目尻に涙が貯まってら。)
「では、いきますね。スゥー……ふざけんなあのゴキ●リ野郎がァァァァァア!!」
何、何なの?あのちっさい生物は本当に何がしたいの!?アレか、影の精霊って言うより悪魔なのかアイツは!次会ったときは、絶対踏み潰してやる!
実は、《契りの指環》のネタが出したかった故に『影の精霊』とコラボしたと言う裏話。




