64話 最善を尽くそう。
試験対策の勉強会から一夜明け、とうとうテストさんが始まりました。
開始直前のルナさんが、生ける屍みたくなってるのを見て、ルナさんの心が砕ける事がない程度に引いときました(…不気味だったと言うよりは、単語帳を片手にブツブツ言っているルナさんが怖かったから。)。ルナさん、それは乙女のする顔じゃあありません。それは徹夜明けの社会人がする顔です。
「プシュー…。」
…テスト開始直後、ルナさんの頭から何かの湯気が溢れているのが見えた。何の湯気が溢れているんだろうか。(そして、何で湯気?)
「(まあ、それは後で聞けばいいか。今は目の前のテストを片付けることに集中しよう。…よし、得意科目が初日に当たって良かった。)」
はふぅ、やっと筆記試験の全てが終わった。(え、私のテストの出来はどうだったって?……ふふふ、敢えて言葉を当てはめるのだったら、可もなく不可もなくですよ。…すみません、見栄を張りました。)
「のあ〜、やっと地獄のペーパーテストが終わったぁあ。」
机の上で伸びをするルナさん……うむ、今の雰囲気は猫みたいだな。こうニァイーンとしてて。(撫で回したいなぁ。)
「今日で筆記が終わっても、明日は魔力判定(自信が保有している魔力の正確な数値を測ったり、どの属性に片寄っているかを調べたりする。)がありますよ?…まあ、その前に身体測定ありますけど。」
「え……し、身体測定?魔力判定?……え、マジで?」
動揺しすぎでしょうルナさん。…アレ?何かクラスメイトまで動揺が広がっていっている?
「こんな情報、嘘ついたところで私の得にはならないじゃないですか。…まさか、筆記テストに気をとられて忘れていました?ちゃんとテスト日程が書いてある紙に書いてありましたよ?」
ばっと確認をしだすクラスメイト達。…いや、あからさまにテストの日程以外の事書いてあるんだから読めよ!つか、その前にこの文章に気付けよ!
「し、し、身体測定…。うぁあうぁぁあ!?」
あ、ルナさんの驚きポイントってそこなんだ。…ああ、身長か。自分の背が伸びていないって自覚あるんだ。
「ルナ、そう落ち込まないで?大丈夫、きっと数値は変化しているはずだから。」
由榎さん、完璧に希望系の言葉になっていますよ?ルナさんを励ます気、実はあんまりありませんね?
「柊の言う通りだ。例え叶わない事でも、希望を捨てたらそこで終わってしまうぞ?」
ディオさん、ド直球過ぎますよ。言葉を選ばないとルナさん泣いちゃいます!
「ええっと…ベストをつくそうね!」
ソルさん、余りにもルナさんが身長ネタで間接的にイジられるのが可哀想になって話題変えたな。私もそれに乗っかろう。
「詳しい数値って、私はまだ計ったことないんですよねぇ。どんな数値なんでしょう?」
「確か、中学生の平均魔力数値は300〜600だったような気が…。すみません、詳しくは知らないんです。」
「300〜900かぁ…結構振り幅ありますね。」
「そりゃあ、保持魔力は人によって区々(まちまち)ですから、各学校ごとに魔力判定で出た数値の平均をとって、それの小さい方と大きい方を全ての平均として記載している…。って、この本に書いてあるわ。」
流石由榎さん。魔法の知識に関しては物凄く詳しいですね。つか、その本はどこで仕入れたんですか。
「コトハは良い数値出しそうだよね。何てったって制限装置付きだし。」
「ルナさん、その発言は嫌味にしか聞こえませんよー。」
お陰で、私の心がブロークンハートですよ。粉々ですよ。…リアルに考えると、中々グロいな。
「わわわ!?ご、ゴメン!誉めたつもりだったんだけど、言葉が足りなかった!」
まあ、可愛いから許す。(可愛いは正義なのですよ。)




