34話 甘やかし過ぎ注意。
「初めまして、ヴォルカン・イグニース・ファイスカと言います。娘がお世話になっているようで…。」
ひぃぃやぁぁあ!然り気無く皮肉込めてきたよ!『ウチの娘になにやってくれやがったんだよゴラァ。』って副音声聞こえるよ、不思議だね!人の良さげな笑顔が、すごく怖いよ、何でだろ!
どどどどうしょう、い、遺書書く時は、ある程度時間取ってくれるよね?さ、三分で一分でも取ってくれるよね?死刑囚の人にも時間取ってくれるんだからね!(パニック起こしてる?ヴォルカン様…殿?をこの目で認識したときから既にパニックだよ!自覚してるよ!)
「こ、こちらこそ初めまして、や、夜風・ヴェヒター・琴波と申します。…こ、この度は、ご息女のリアマ嬢に大変失礼な事をしてしまいすみませんでした。
…しかし、リアマ嬢の件については言葉が強かった事は反省はしていますが、後悔はしておりません。
その事については、どうか罰するなら夜風の家ではなく私だけを。」
多少吃っちゃったけど大丈夫だよね?ちゃんと私自身の意見言えたよね?死亡フラグは乱立しちゃったけど、もう今更だから気にしない!(内心はヤケクソモードだしな!今なら『僭越ながら〜』とか言いながら失礼な事言えそう!心の中だけな!)
「………。」
…黙らないで!お願い、怖いから黙らないで、頼むから!この重々しい沈黙だけで、私逝けそうだよ!また旅立てそうだよ!私、『私』の時の影響で精神面スゲー弱いんだから!硝子のハート…リアマ嬢一団の視線攻撃で熱され続け脆くなった耐熱硝子のハートだから!ちょっとの衝撃ですぐ壊れる(鬱になる)よ!
そっとヴォルカン公(この世界に爵位あんのかな?命あったら後で調べよう。)を盗み見したら、顔を伏せた状態で肩を震わせてていた。
……あれ、こんな反応前にもなかったか?確か、メイさんとの関係を聞いたときの父様にすごく似ているような気が…。え、まさか…ね?ヴォルカン公はそんなことしないよね?アレは父様だけだよね?
「…ぷっ…あっははははは!!」
やっぱりまた笑われた!?大真面目に言った事を、爆笑された!?しかも爆笑したのが目の前にいるヴォルカン公だよ!!もう私どうしたら良いの、誰か教えてっ!!
「あははははは!!…っ、…ぷっははははは!!」
…どの辺がヴォルカン公にツボったんだろう?ねえ、泣いていい?色々悲しくなってきたから泣いていい?
「あはははっ!ゴメンゴメン、別にリアマの事については、君が悪いとは思っていないから。アレは、普通にリアマが悪いしね。」
良い人や!良い人って言うか…うん、良い人!
リアマ嬢があんな(高飛車ツンデレ…典型的な我が儘お嬢様)だからどんな親バカな人かと思えば、普通に良い人だった。
「リアマについてはさ、私達の一族の中でも貴重な人材だから、ちょっと…いや、かなり周りが甘やかせてしまってね。当然甘やかされているから怒られないから、自分の思い通りにならないと気かすまない質になってしまったんだ。…根はとても良い子なんだがね、気が付いたら感情表現もひねくれちゃってて。
少しでも言葉を強く言ったら、癇癪を起こして力が暴走するから、周りも怒りづらかったみたいだしね。」
それでアノ性格が形成されていった訳なのね…。
「だから、寧ろ君には感謝をしているんだよ。私達が今まで出来なかったことをしてくれたんだから。…ありがとう。」
そう言ってヴォルカン公は、私の頭をポンポンと撫でた。
…アレ、何か体か楽になってきた…何でだ?
「治療魔術は、私からのお礼だと思ってくれ。…リアマの事、今後ともヨロシクな。」
言い終わると、ヴォルカン公は保健室を出た。
「ヴォルカンさん、凄い良い人だったね!」
「はい。」
「将来あんな人みたいになりてぇよな。…夜風、ファイスカの親父さんのお陰で体調良くなったんなら、体温計ってから教室に戻りなさい。ヘニミス妹も、今なら一時間目の途中だし、もう夜風の付き添い良いから教室に戻りなさい。」
そう言いながら、先生は私に体温計(耳に入れて計るやつ)を渡して、ルナさんは「…はぁ~い。」と渋々教室に戻っていった。
つか、私三十分ぐらい寝込んでいたのね…初めて知ったわ。(私が寝ていたベッドの角度からは壁掛け時計がうまく見えないし、スマホは鞄の中だし。)




