30話 お昼ご飯食べましょう。
その後、ディーアさんの大声が目印になったのかソルさんとディオさんがこちらに合流して、ソルさんがルナさんに泣き付いて(意外だった。)またイチャイチャしようとしたのを止めたり、ディオさんに由榎さんを紹介したり、ディーアさんがここで働いているとディオさんに教え、ディーアさんにソルさんを紹介したりした。
ディーアさんのお店の近くで、ルナさんのお目当ての物(大量の色ペンやマーカーの他にスケッチブック、筆箱…マーカー用と色ペン用を2つ)を購入し、私も糖分補給用の飴やグミ、旬の苺一パックと練乳(今日のおやつ)と、紅茶の茶葉(色々種類があったけど、取り敢えず無難なアールグレイにしといた。)を購入。
ソルさん達も、私達とはぐれた後各々で買い物していたみたいだ。(ソルさんは買い置き用のノートと昼食用のサンドイッチを、ディオさんは何故か野菜やら何やら買っていた。理由を聞いてみたら『今日の晩飯と常備菜用』って言われた。…貴方は主婦か……主夫かっ!)
「あ、私お昼ご飯買っていませんでした。…今行くと混んでるし、良いのは売り切れてそうですね。」
それ以前に、好き好んで人混みに飛び込みたくねぇ…どうしよう。
「僕も買い忘れた…。」
…斯くなる上は、このおやつ用の苺をルナさんと分け与って食べるか。
結構本気に苺をお昼ご飯にしようと思ったら、目の前に紙袋が出てきた。…何事?
「琴波ちゃん、ランチセットはウチの店でも取り扱ってますよ。良ければいかが?」
「!!、ディーアさんありがとうございます!」
天の助けとはまさにこの事か!
…ディーアさんが一瞬女神に見えたわ。
紙袋…ランチセットの中身は、炙りチキンのサンドに野菜サラダだった。(飲み物は?と聞いたら、自販機を、笑顔で指差された。…言うに、飲み物は個人で買えと言う事ね。)
オレンジジュースを購入して、ついでに由榎さんもお昼に誘った。直ぐに肯定の意が表されたら、由榎さんも私と同じランチセットを買った。
ルナさんもこのランチセットを買っていたが、買った後にまた肉まんを一つ買っていた。…ランチセット自体に結構ボリュームがあるので、ルナさんが食べきれるのかが少し不安になったので、そんなに買って大丈夫なんですか?と聞いたら、
「問題ないよ。いつも家ではこのくらい食べてるし、食べた分は動くから!」
…将来的な意味で大丈夫なのか、それは。
場所は変わって、購買の二階にあるオープンテラス。(一階のフロアは、主に商業施設やファーストフードの店が軒を連ねていて、二階は休憩所になっている。)
只今とても気まずいです。何故ならば…
「(何でここに居るんですかリアマ嬢一団!!つか、終始無言で睨んでくるの止めて!ただでさえ人混みで体力削られているのに、精神的にも削る気か!)」
上記の理由だけでもキツイが、それで席が隣とか…どうしたらええねん。
「い、いただきます…。」
そうだ、食べ物食べて気分を誤魔化そう!それが良い、そうしよう。
ランチセットの紙袋の中からサンドとサラダを取り出し、近くに買ったオレンジジュースの蓋を緩めておいてから、改めてサンドにかぶりついた。(パクッって可愛らしく言うよりガブリッと言う効果音が似合うぐらい勢いよく。)
「わ、美味しい!モグモグ…。」
私が食べ始めたら、周りに座っていたルナさんやソルさんも食べ始めた。(一人が食べ始めたら、ドミノの様に連鎖的に食べ始めるアレか、あの心境なのか。)
「あ、琴波の言う通りだ…お肉の焼き加減が絶妙だし、挟んでいるパン自体も少しカリカリに焼かれてあって美味しい!!」
「俺の買ったサンドイッチも、玉子サンドやハムレタスサンドとか色々種類があって美味しいよ。…ルナ一ついる?」
「え、良いの?お礼に僕のサンドを一口あげるよ。」
あーんっ。
「ふふ、美味しいね。」
「うん!二人で食べたからもっと美味しいね。」
…こんな状況だと、この双子の精神攻撃見てると何かしら和むね。(因みに、由榎さんとディオさんは既に“我関せず”状態でお昼ご飯食べてました。…無言だったけど。)




