26話 頑張ろう、私。
次の語学と算数の授業は、普通だった。普通だったって言うか…うん、とても平和だった。
…リアマ嬢や、その取り巻きの子達の視線が私に向かっていなかった他は。(私の体力ゲージはレッドゾーン通り越して数ドットしか残っていないよ…。休憩時間にルナさんをなでなでしたりしてある程度グリーンゾーンまで回復しても、直ぐゲシゲシ削ってレッドゾーンまで追い込んでくるからな。父様の時より、身内じゃない分質悪い…。)
「じ、授業終わった…。」
「どうしたのコトハ、随分お疲れだね。さっきの算数の授業で分からない事でもあったの?」
例のごとくルナさんが私の席のまで来た。(その私は机に突っ伏して力尽きている。…気分は一ラウンド終えたボクサーだ。しかも、次のラウンドに入ったら確実にノックアウトさせる。)
「ん゛~、あったと言えばありましたね。(どうやれば小学生ぽく問題が解けるのとか、突き刺さる視線ってどう躱せば良いのとか、リアマ嬢に何て言って謝ろうとか。…うん、言えない。言えるわけがない。)」
かなり含みのある答えをルナさんに返したら、あからさまにリアマ嬢とその取り巻きが内緒話をし始めた。(行動がわっかりやすいな。もう少しコソコソッてすれば良いのに。)…大方、さっきリアマ嬢に赤っ恥かかせたから、私が苦手と思われている算数の問題でも出して困らせようと言う算段なんだろうなぁ、多分。生憎な事に数学…じゃなかった、算数ってそこそこ得意なんだよね。てか、小学生の問題を高校生が解けなかったら、それはそれでどうなんだよ。
「にしては計算問題スラスラ解けてたじゃねぇか。」
隣の席のディオさんや、流石に足し算は出来なくてどうすんねん。あの程度だったら両手でできるぞ。(1+1のレベルを一時間丸ごと使うとか…。基礎固めるだけらしいから、次から二桁の足し算レベルになるらしいけど。)
「計算ではなく、また別の事です。(計算でどうのこうの出来たら良かったんだけど……人の心って分かんないなぁ。)」
あら、リアマ嬢一団(こう言った方がしっくりくる…と言うか言いやすいな。よし、心の中ではこう呼ぼう。)がアワアワしてる。…さっきまで考えていた予想が、完璧な検討違いだったことに気付いて慌てているのだろう。
基本的に、小学生レベルの勉強だったら私に敵わないと思うな。(運動も、リベルタさんとかユリナさんに付き合ってもらいながら合気道みたいなのと走り込みをやってたし。…いやぁ、リベルタさんよりユリナさんの方がスパルタだったな…。人は見掛けによらないな、本当に。)
…なんか緩い感じの運動部に入ろうかな。せっかく鍛えた体が鈍るのはいやだし、体を鍛えていて別に損はないし。
「そ、そこの貴女!」
ぼんやりと思考を巡らせていたら、近くにリアマ嬢一団が来ていた。
「さ、さっきはよくも私に恥をかかせましたわね!」
何故に少し吃るんだ、リアマ嬢。
「その節は、出過ぎたことを申してしまい…すみませんでした。」
まあ、言葉が強かったのと、ちょっと言い過ぎた事は認める。
「わ、わかれば良いのですわ。おほほ…」
「しかし…私が止めないであのままリアマ嬢が力を使えば、周りの者に被害が出ました。それこそ、軽い火傷では済まされないほどの。
ご自分の力の強さ、よく認識してください。
…私自身はどうなっても構わないので、私一人でどうにかできる罰なら受けましょう。」
ふぅ、内心に溜め込んでいたものを言葉にして吐き出したから、ちょっとスッキリした。
リアマ嬢は口をナワナワと震わせて、怒りを押さえているように見える。(ああ、言葉…高笑い?を途中で遮ったこと怒っているのかな。それとも、また言葉が強くなったのが気に入らないとかかな。)
「~~ッ!!皆、行きますわよ!」
「「「は、はい!!」」」
こちらを一瞥することなく早足で教室から出るリアマ嬢一団。
『お風呂で謝っちゃえ計画』の前に謝っちゃったけど、この様子だと暫くあの視線攻撃(もう目からビームが出る勢い)は続くなぁ。




