↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭 名もなき森  作者: ひろめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/6

5.2日目と謎のレシピ

「なんだ、これ」


破片の中に混じる小さな紙片をつまむ。


────────────


【レシピ 小さなゴーレムの作り方】


材料:ゴーレムの破片、主人の血、核


① ゴーレムの破片に水を適量加え土に戻す。

② 血を1滴落とし、よく練る。

③ 丸くまとめて、核を埋め込む。

④ 核に触れて主人名を登録。

⑤ 馴染むまで待つ。


────────────


「ゴーレム?」


ゴーレムって、あれか?

ゲームやアニメによくある、動く人型のやつ

それの作り方?

あんなすごいものを、こんな簡単な工程で作れたらダメだろ


ざっと最後まで目を通して、なんとなくその工程を頭に入れると、手にしていた紙片がぽぅっと発光し紙ごと消えてしまう。


「消えた?!」


風に飛ばされたのでも、落としたのでもない。

周りを見てもあの紙だけがない。

一緒に落ちていた暗緑色の破片と真っ赤な小さな石はまだそのまま落ちている。


これも昨日はなかったものだ。

割れた破片を拾って重ねる。


カチャリ


平たい破片に少し丸みを帯びたものや、中が空洞になっているもの。


元はどんな形だったのだろう……花瓶かな?


カチャン、カチャ


破片を重ねるたびに軽い音がする。

その音には聞き覚えがあった。

暗闇の中で鹿の角の先端に当たったもの。


「もしかして、これが当たったのか?でも……」


投げ込まれたのだろうか?

だがそれだと、角に当たる前に壊れた音がしないだろうか。


投げ込まれて脆くなってた?

誰か壁を登って来た?

それともまさかテレポート……


目の前で消えた紙を見たせいで、バカげた発想をしてしまう自分に呆れて笑う。


昨日からこんな考えばかりだ

ここが夢の中だとか、ジオラマの中だとか


割れた破片をひとかたまりにして端に寄せ、最後になくさないように赤い石を空洞の欠片の中に入れる。


現実を見て、ちゃんとしないと

明るいうちにやることはいっぱいあるんだ

救助を待つにしても、数日はここで過ごすための準備がいる


まだ、強張ったままの体を軽く伸ばしてから、巣穴を出て地上に降りる。

明るい日差しの中で今度はぐーっと、しっかり体を伸ばした。


まず最初にするのは、昨日苦労した植物の草や茎を切るのに、使えそうな石を河原で探すこと。

これが、この後の作業の効率を上げてくれるはずだ。


「それから鹿の角に紐をつけたい。あとは冷え対策も何か考えないとな。水と食料もまた採って……」


河原を歩きながら、第一目標の石探しを始める。


なるべく硬くて薄いやつがいいかな


石を手に取っては、鋭さと硬さを確かめるために、別の石に打ち付けてみる。


「おぉ、これいいんじゃないか?」


たくさんの石を打ち付けていくうちに、手にした一つが剥がれるように割れて、薄く鋭い刃のようになった。


これを第1候補に、さらにナイフの代わりになりそうな石を集め、いくつかの候補から厳選し、一番平たくて鋭い黒い石をポケットに入れる。


石のナイフ選びに時間がかかったが、探している途中で、水を浄化できるという、白く小さな穴がたくさんある石を3個も見つけられた。


ガチャガチャの地図に【河原の穴だらけの白い石。水に入れると飲水】とイラストと一緒に書いてあったものだ。


石のナイフ探しが終わったので、次は今日の一番の目的に取りかかる。


手に入れた黒い石は割れたせいで小さいがナイフみたいに薄く尖っている。その石のナイフを持って森に入り長くて丈夫な植物を、根元の葉を避けて数十本切り取る。


これは猫じゃらしのような穂先を持つ茎の長い植物で、茎には葉や節がなく、またコシがある茎は力を入れて結んでも切れにくく結びやすかった。


石のナイフの期待以上の切れ味に満足しながら、次々に穂先を切り落として、紐状にしていく。

ここに来たついでに水の枝も2本採ってから河原に戻る。


石だらけの河原を避けて、草の斜面に腰を下ろすと、さっそく採ってきた猫じゃらしの茎を4本束ねて大きな輪を作った。

その輪に別の4本束を通して結んでいき、鎖のように繋がった3つの大きな輪を作る。


角の二股に分かれた長い方に、先端から輪の一つを通し、根元側にも輪を通したあと、肩や斜め掛けにして長さを確かめる。


肩から下ろすと、角に通した2つの輪を一度ずつひねり、別の茎を使って角から外れないようにしっかり結んだ。

最後に輪の連結した場所を別の茎で巻いて固定したら、鹿の角のショルダーベルトの完成だ。


上手い結び方を知らないから、不格好になったがこれが今できる最大限の工夫だった。


河原に視線を戻すと、昨日一番最初に苦労して採った水の枝が落ちていた。

折れる節の場所がわからず、鹿の角を柔らかい枝の部分に何度も突き刺して、無理やり引き千切ってきた短いものだ。


それを手にして、空になった水の枝の中を覗く。

ストロー状の枝は2cmほどの太さ。枝全体は柔らかく弾力があり、好きな形に曲げられてホースにそっくりだった。


夜、背中と尻からじわじわと広がった冷たさを思い出す。


森の夜があれほど冷えるとは想像もしなかった。

背中は壁に寄りかからないように調整できるが、何か敷くものは絶対に必要だろう。


確か……空気の層で暖かくなったり、涼しくなるんだっけ?

この空洞が冷えを和らげたりしないか?

もし座って空洞が潰れても柔らかいし、直接砂の上に座るより少しはマシかも


全部、試すしかない。

いつ救助が来るかわからない、服しか持ってないこの状態で、救助が来るまでの間は、自分だけで何とかするしかないのだ。


急いで巣穴に戻り、空になった水の枝とまだ少し残っている水の枝を持って、地上に戻る。


「たぶん乾かした方がいいんだろうけど」


持ってきた3本の水の枝の紐を解いて、長い状態に戻してから、振って中の水をできるだけ切る。


それを近くの岩に斜めに掛けてから、森で猫じゃらしの茎を20本くらい追加で採ってくる。


水の枝の長さをいろいろ試してみて、4つ折りに決めると、その両端を猫じゃらしの茎で縛っていく。

30cmくらいの長方形パーツを3つ作り、それを繋げていくと小さな四角い敷物ができあがった。


「ちょっと小さいけど、クッションぽくはできたな」


完成した枝クッションに試しに座って、満足そうに頷く。


「空の水の枝が増えたら、繋げて大きくしたり、背中用を作ろう」


次は食料の調達だ。


河原の斜面には、這うように伸びたツルにイチゴのような黄色い実がなる植物があった。

ガチャガチャの地図には、食べられる木の実として【黄色いツブツブの果肉。ツルに丸い三角の実とヘタが3枚】とイラストが描いてある。


地図の説明文はどれも詳しくは書かれてないが、イラストがあるのでわかりやすい。


昨日少し食べたが、イチゴみたいな形なのに味は全くの別もの。甘くないうえにどこか青臭い。

噛むとねっとりとした歯触りで、実についてる細かな種がザラザラと舌に残り美味しくなかった。


食べたくないが、他に食べるものがない。

多少でもエネルギーになるものを取り込まないと、救助まで体が保たないかもしれない。


ヘタの少し上の茎から石のナイフを使って採って、脱いだシャツの上に置いていく。


他に低木になる長細いミニトマトみたいな実があり、その木が森と河原へと続く斜面の境に何本もあった。こちらも食べられるらしいが、すごく酸っぱい。


酸っぱいミニトマトを食べるか、ザラザラした青臭いイチゴを食べるかの2択しかないのだ。


魚を捕れたらいいが、この近くにはいないし、火がないと食べられない。

魚は内臓と生食が不可と地図には書いてあるからだ。


火は明かりにもなるし、最優先事項だが、火起こしのやり方はうろ覚えだった。


明日試してみようか

夜の冷え対策に、巣穴の中でも燃やしたいけど、

狭いから危ないか?


確か、木の板と擦るための棒

あと燃えやすい木くずとかだよな……


腹を満たすには十分な量ではないが、我慢すれば食べられるくらいの木の実を持って巣穴に帰る。


自作ショルダーベルトのおかげで、両手が使えるので荷物があっても登るのは1回で済む。


巣穴に戻って、荷物を降ろし、採ってきた水の枝を壁に立てかけようとしたとき、あの破片に当たり、カチャンと音がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。