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箱庭 名もなき森  作者: ひろめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

1.ガチャガチャ

ブザーが鳴り、塾の授業が終わる。

時計を見ると22時まで数分ある。


少し早いな……


手早くバッグにノートやペンケースをしまうと教室を出た。階段を降りてすぐ横にあるコンビニに入る。


ここで親の迎えを待つのだが、時間をつぶすだけの居づらさから買い物もする。


迷うことなく、ずらりと並ぶペットボトルの中から水を選び、デザートコーナーとアイスケースを物色し、ちょっと迷ってから新商品と書かれたアイスを手にレジへと向かう。


顔なじみの店員の「勉強お疲れさま」の声に、小さく会釈した。


「ガチャガチャ……?」


レジカウンターの脇に置かれた見慣れないものを見つけて小首を傾げる。


コンビニにガチャガチャとは珍しい。


「あーそれ?今日来たらあってさ、100円でできるってわりと好評。なんか自然のジオラマらしいよ」


「へー」


今受け取ったお釣りの中から100円玉をつまみ、ガチャガチャの前にしゃがむ。


ガチャガチャのケースの前面には、商品の広告が貼られていた。


【箱庭シリーズ 名もなき風景③ 〜自然〜】


広告ではミニチュアながら精巧なジオラマの写真。

でも金額を考えると、実物は微妙なパターンだろう。


100円なら……か


出てくるものが写真と違ってても許せる金額だなと妙なところに感心する。


投入口に100円をセットし、レバーを回すと、コロンと緑色のカプセルが1つ出てきた。


イートインコーナーに座ってアイスをかじりながらカプセルを開ける。

中には小さな森のミニジオラマが入っていた。

一緒に入っていた小さく折り畳まれた説明書を丁寧に開く。


箱庭シリーズ 名もなき風景③ 〜自然〜

全7種 (シークレット1種)

※同シリーズ商品との接続が可能です。


説明文の後には、森、山、雪山、荒野、海、砂漠のジオラマの写真と、シークレットの真っ黒なシルエットの写真があった。


そこまで見ると、スマホが短く鳴り、画面には到着と書かれた旗を振る可愛いクマのスタンプが揺れていた。



家に帰り着いて、夕飯と風呂を済ませて部屋に戻る。


バッグを机に置くと中からあのカプセルが転がり床に落ちた。


緩く閉じていたカプセルがぱかりと開いて、中からくしゃくしゃになった説明書と小さな森のジオラマが飛び出す。


説明書を取り上げ、軽く畳み直し、ジオラマを眺める。


期待していなかったジオラマは写真と変わりなく、六角形の台座に再現された森は細かい木の1本1本まで丁寧に作り込まれ、よくよく見ると森の中に小川があったりとかなり精巧な作りだった。


「すごいな。もう何個か回してくればよかったな」


100円ではあり得ないその景品の精巧さに驚き、興奮する。


次の塾のときにまた回そうと心に決め、小さなジオラマを棚に飾り、ベッドに入る。


遠目から見てもその凄さがわかる。

コンプリートしても同じものを繋げても綺麗だろう。


次の塾は明後日の金曜日。

でも明日、ガチャガチャだけ回しに行ったっていいな…


そんなことを考えながら眠りについたからか、目が覚めたとき、いやまだ夢の中なのか…


とにかく今、なぜか森の中にいる。

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