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ある日、僕から何かが消えた。


僕の頭の中で、大事な、すごく大事な、何かが消えた。

思い出せない。喉まで来ているとかじゃなくて、そもそも、なんだったのかすら覚えていない。


僕はさっきなにをしていたのか。その光景を見れば思い出せると思った。


振り返ってみると、そこには、白い道のようなものがあった。周りは透明というか、白というか、なんとも言えない感じの色だった。地平線が広がっているみたいだった。


気がつくと、目の前にも同じ光景が広がっていた。



僕は終わりのない道をなぜだか歩き出した。前の方にあった道だったか、後ろの方だったかは覚えていない。考える必要が無いと感じた。



歩いていると、右の方からスクリーンのようなもので写された写真があった。


赤ん坊が泣いているところを、父親らしき人物があやしている。近くには、母親と、看護師がいた。


全員、見たことのある顔だった。特に、あの赤ん坊については、世界中の誰よりも僕自身が一番よく分かっている。そんな気がした。だが、いざ思い出そうとすると、記憶が頭から消え去った。




スクリーンなんて無かった。僕はなぜか壁を見つめていた。なぜだろう。

僕はいつの間にか、また道を歩き出していた。

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