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第1話 ホワイトアウト
草原に嵐がきた。
横殴りの風と雪が白く視界を覆っていく。
「二哥、寒い」
「大丈夫だ、小妹。オレにしっかり抱きつけ」
薩蘭をしっかりと懐にいれる。
背中は暖かい。
巴特は、吹雪の盾となって風上に立つ青燕に視線を向けた。
青燕は、青毛の美しい馬だった。
輝く毛並み、額の流星、がっしりとした体と足。そして気性。
軍馬になると約束されたような馬だった。
彼は草原で二人と、兄弟のように育った。
しかし、青燕はケガをした。
歩けるようにはなったけれど、もう軍馬としては役に立たない。
役に立たない馬は潰される。
二人は父に頼んだ。
青燕を助けてくれと。
しかし、草原の掟は容赦ない。父は青燕を潰すと決めた。
泣いて、抗って、泣いて、二人は決心した。
「青燕を連れて逃げる」
青燕と、どこか遠くへ。
その結果が今だ。
吹雪にまかれて、死にかけている。
腕の中の妹は、もう声も出さない。
自分も、もう動けない。
「助けて」
誰に向かって言ったのか、か細い声は風に紛れて消えた。
もう、何も動かない。
白い白い草原に、いななきだけが響いていた。
二哥
次兄。二番目の兄に対する呼び方。
小妹
妹に対する呼び方。




