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第6話 少年だった青年
古びた制服にそっと手を通した。
入学が決まったのは昨日の出来事。
当然、制服なんて間に合うはずもない。
よって、今着ている制服は、ソルベール先生のお古をマチバリー寮長が仕立て直してくれたものである。
暖かな春といえどもまだまだ朝は冷えるため、ローブ型の制服は助かる。
ローブからは、ソルベール先生の香りと、勉強への楽しさとわくわくする少年の心が見えた。
ロビーへ向かうと、先生がすでに待っていた。
窓から入る眩しい光が先生の淡い栗色を照らしていた。
(まるで、天使の寝床みたい。)
「先生、おはようございます。」
「おはよう、メルくん。
ローブ姿が様になってるね。
本当は他の学生みたく新品を用意したかったのだけれど…申し訳ない。」
「とんでもないです。
貴重な制服をありがとうございます。
でも、本当に良かったんですか?」
男女で服のサイズは変わる。
私のサイズに合わせるということは、つまり思い入れのある制服に鋏を入れた、ということ。
「あった所でただの場所とりになるだけだ。
ただ残すよりも、活用する。
それが研究者というものさ。」
先生の顔が、ローブを着た時に見た少年と重なった。
空を仰ぎながら言った正装姿のソルベール先生を、私はかっこいいと思ったんだ。




