第7話 錬金令嬢のレン
「メル、オリエンテーリングの班って決まった?」
「まだ決まってない。レンは?」
彼女はレン。
私と同室でありクラスメートでもある。
腰まである長い黒髪が印象的で、光を受けると墨のように艶めいて見える。
「まだ入学して日が浅いのに、班員は自分たちで集めろなんて…
先生方も随分無責任ね。」
「確かに大変だけど、反対に考えれば話しかけるきっかけができたってことかも。
あと4人、探してみようよ。」
入学してすぐに言われたことは、二週間後に控えるオリエンテーリングのための班員を作ることだった。
クラスメート6人で1つの班を作るのも、初対面同士だとなかなか難しい。
レンは裏表のない素直な性格だ。
ものをはっきり言う性格だが、そこに悪意はない。私はすぐに彼女を好きになった。
「……甘かった。」
教室に着くなり、手当たり次第に声をかけてみた。
だが、10人連続で断られると流石に凹む。
「この学院は、ほとんどがお貴族様なのよ。
私やメルみたいな爵位を持たない庶民は珍しいの。
きっと貴族同士だと、もう学院に入る前からコミュニティーができているのね…」
教室全体を見渡すと、確かに高価な香水や化粧の香りや綺麗な所作、宝石を身につけた人もいる。
改めて、自分は何て場違いなところに来てしまったのかと思う。
「レンも貴族と相違無いくらい綺麗だよね。」
「ありがとう。
実家が貿易商だから、良い教育を受けさせてもらえたの。
子供の頃は窮屈で逃げ出したかったけど、今では感謝しているわ。」
「でも、貴族の方からは、“成金“って対等に扱って貰えないけどね。」
「俺は合ってると思うぞ。
だって名前と合わせたら“錬金”だろ?
ピッタリじゃん。なあ、レン金。」
「次、レン金って言ったら、あんたの髪の毛むしってやるわ。
良かったわね。グリズリー男爵みたいに男前になるわね。」
揶揄いながらレンに話しかけた男子生徒は不安そうに頭を抑えた。
「や、やめろよ。
父さんの頭を見ると、俺の将来が不安になるんだよ……。
それよりも,班員探してるんだろ。俺とジーンも入れてくれよ。」
「なんであんたを?
他のお貴族仲間たちとは良いの?」
「あぶれちまったんだよ。
な、頼む。」
「私はいいよ。」
「ちょ、メル!」
「ありがとう。ジーンには班が決まったこと話とくよ。
俺、ユート・グレズリー。よろしく。」
「メル・グランテ。よろしくね。ユート。」
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「ちょっと、メル。
ユート本当に入れていいの?」
学食のメニューは想像以上に豊富だった。
各地の料理が8種類ほど用意され、その中から選ぶシステムだ。
お金を払わなくていいなんて、庶民代表として声を大にして言いたい。あるがとうございます。
「どうして?
悪い人じゃ無いでしょ?』
私はビーフシチュー、レンはミートソースのペンネを食べている。
ビーフシチューはお肉が柔らかくてすごく美味しい。
「あいついると面倒くさいのよ。
よく人の事からかってくるし。」
「きっとレンのことが大好きなんだよ。」
「そ、そんなわけないでしょ。
ただ馬鹿なだけよ!」
「レンが嫌なら、断るけど?」
「…別に。
入れてあげてもいいわ。
他の班のお荷物になるより、うちにいた方がマシでしょ。」
(素直じゃないなあ。)
これがツンデレというやつか。
顔を赤くしてペンネをかき込む照れ隠しがかわいい。




