アイアンホーク
俺は今空の騎士と呼ばれる魔導騎士に乗って前線へ移動していた。
今回の任務は敵の魔導部隊が攻めてきた時の迎撃だ。
最前線での任務は初めてなので緊張する。
「そんなに気張るなよアル。俺達がいるのはあくまで機体整備のために一時撤退した本体が来るまでの繋ぎだ。」
「わかってるよ」
まだ出会って3日の戦友であるカイが励ましてくれるがどうにも嫌な予感がする。
そんな話をしていると目的の拠点が見えてきたがどうやら様子がおかしい。
「こちら臨時で派遣された第235魔導中隊。何があった応答を願う。」
「こちらアルファス防衛部隊。敵魔導大隊と現在交戦中。至急応援を願う。」
まずい俺達は中隊規模に対して相手は大隊規模。おまけに俺達は本隊ではなく臨時の部隊だ。
でもここで行かないという選択肢はなく全員が速度を上げて都市に急行する。
「全隊員に通告。これより我々は敵魔導部隊と接敵する。敵との接敵後は散会して味方の本隊が来るまでの時間稼ぎを行う。」
かなり抽象的な司令だがそれ以外にできることもないのでしょうがない。
こちらの隊員の長距離狙撃ライフルが敵一機に命中したことで戦闘が開始される。
こちらは散会後敵複数機を相手にとにかく逃げ回る。
30分後既に残っている味方の機体は俺だけだ。
こっちは俺一人に対して敵機は30機。俺は死ぬ気で逃げ回りながら隙を見せた敵から撃ち落としていく
「クソ、なんだあの機体。ネームドか?」
敵の通信魔力を拾ったためこちらの無線に敵の声微かにが聞こえる。
「こちら第235魔導中隊。至急応援を願う。」
「こちらアルファス防衛部隊。応援の魔導部隊が来るまであと30分だ何とか持ちこたえてくれ。」
無理に決まってるだろ。あと俺だけだぞ。
だが文句を言っても戦況は変わらない。
俺の機体は整備士の友人に無理を言って色々と弄っているため普通の機体より機動性が圧倒的に高い。
かと言って全ての弾を避けるのはきつすぎるというか無理だ。
敵も一人、また一人と俺のライフルにより倒れていく。
敵は中距離での銃撃戦を諦めて接近戦に切り替えようとサーベルを持って急接近してくる。
俺も咄嗟に武器をライフルから得意の両手斧に切り替えて近づいてきた敵を叩き落とす。
俺が接近戦にも対応したことに驚いたのか敵に動揺が走る。その隙に近づいていた敵にこちらから接近戦して俺の斧をサーベルで受けようとしていた敵の腕を反対の斧で下から腕ごと叩き切る。
あと30分、死ぬ気で耐える。
20分後敵の残っている機体は21機。
近づいてきた敵機を叩き落したあと後ろからライフルで狙っていた敵に向けて斧を投擲する。
無事敵の機体腹部にあたり落ちていったが今ので最後の斧だ。
ライフルの弾や他の武器の残弾も全て撃ち尽くしているためあとは体当たりくらいしかすることがない。
俺が武器がないのに気づいたのか敵の一機がサーベルを持って近づいてくる。
敵の振り下ろしたサーベルを機体の左手の装甲で受け止めてそのまま敵が撃ってきた弾への盾として使う。
敵の弾は無事盾の中央部に穴を開けて俺が手放して少ししたら爆発四散したり
これであと19機だがこれ以上はもう無理だ。
正直一人で11機やっただけで英雄物だ。
魔力で盾を作ったり撃ったりするのも試したがやはり
魔導騎士はただの魔法じゃ大した有効打にはならない。
俺は奥の手である電気魔法の応用の磁力魔法を使い先ほど投げた斧の一つを回収する。
この魔法はまだ魔導騎士で使うには不完全なためあまり使いたくなかったが贅沢は言えない。
回収した斧で接近する敵を牽制しながらライフル弾を巧みに避けていく。
だが接近してきた敵を迎撃するために斧を振り上げた一瞬の隙を見抜かれて敵のライフル弾が俺の機体の右手に命中した。
接近してきた敵との距離を取るために風魔法を込めた足で敵を蹴り飛ばして距離を取るり
流石に厳しいかもしれない。
銃弾を避けたりするために魔力を惜しみなく使ったため魔力もかなり減っているし機体の損傷もかなりきつくなってきた。
再び接近してきた敵3機に覚悟を決めていたその時、敵機の頭部が3機同時にライフルで撃ち抜かれて爆発した。
何が起きたかを理解する前に通信が入る。
「こちら第9魔導大隊。ただいま復帰した。」




