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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
終章 打倒! 悪のヤドリギ!
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その夜の夢



 蘭さんとスズランはミルキー城に残ったので、宿舎には僕とアンドーくんと、ぽよちゃんたちモンスターだけになってしまった。

 さみしいなぁ。


「アンドーくんは、どうするの? イケノくんを探すことが目的だったよね?」

「わは、かーくんの旅についてくよ。セイヤのことは悲しかったけど、魔王を倒さんと、セイヤみたいな人がなくならんけんね」

「そうだね。がんばろう」

「うん。がんばぁか」


 よかった。ぼっちにはならなかったぞ。


「じゃあ、とりあえず、明日からバッテリーのためにエレキテルの街に行こうかな」

「うん。早やに寝るか」

「おやすみ」

「おやすみ」


 その夜だ。

 僕は夢を見た。

 あの呪いの鏡のなかから、例の金髪美少女が僕を見ていた。

 ニッコリ笑った顔はほんとに綺麗だなぁ。北欧系の人って妖精みたいだよね。てか、妖精なのかもな。精霊族のお姫様って言われてたしな。こっちの世界では妖精もふつうに存在してる。


「わたしの魂の一部をとりもどしてくれて、ありがとう。ヤドリギはとても狡猾こうかつな男でした。わたしと、あの人の仲を裂いたのも、あの男だったのよ。わたしがこの鏡に閉じこめられたのも、そのせい……」


「えーと、やっぱり、伝説の呪われたお姫様っていうのは、あなたのことだったんですね?」

「ええ、そう。わたしは心と体をバラバラにされて封印されています」


「あなたを助けだせば、魔王をやっつけることができますか?」

「……あの人がまだ、わたしを信じてくれるなら、きっと」


 うーん。なんだか、さっきから女神様の言う“あの人”っていうのが、どうも魔王のことらしく聞こえるんだけどなぁ。


「三人の巫女の力を借りてください。最後の決戦へと通じる扉がひらかれるでしょう。すべての人が力をあわせ、どうか、あの人を止めて……」


 ああ、また像がぼやけていく。

 まだ聞きたいことあったんだけどなぁ。


 銀ちゃんと戦った銀晶石の森の遺跡。

 あのなかにあった像は、この女神様をかたどったものなんじゃないかな?


 それに、女神様とたまりんが、よくシンクロしてるみたいなんだけど。

 たまりんはモンスターのはずなのに職業も覚えられたし、ほんとは人間? 人間の魂?

 あなたとたまりんは同一人物なんですか? 女神様?


 でも、そこで僕は目がさめてしまった。


「キュイ〜」

「ぽよちゃん。おはよう」

「ケロケロ〜」

「ケロちゃんも、おはよう」


 可愛いモンスターたちにかこまれて、幸せだなぁ。

 ここはカッコ苦笑カッコ閉じとつけたすところだ。(苦笑)これね。


「かーくん。朝食作ったけんね。食べたら出発さか」

「うん」


 僕らは朝のしたくをして、猫車をひいて城門の外に出る。

 街は今日も平和だ。

 空は晴れ、ぷかぷかと浮かぶ雲が、ゆっくりと風に流れていく。


 僕らが歩きだそうとしたときだ。


「かーくん! 僕を置いていくなんてヒドイですよ」


 かけよってくる人影。

 蘭さんだ。

 すっかり旅装が整ってる。


「ロラン。ミルキー城にいなくていいの?」

「父上もお元気になられたし、後始末もだいたい終わったから、ぬけだしてきました」

「いいの?」

「問題ありません。それにね。勇者は旅に出ないと、さまにならないじゃないですか」


 まあそうだ。


「じゃあ、行こうか」

「出発進行!」


 僕らのやりとげたこと、やりとげられなかったこと。

 やらなきゃいけないこと。

 たくさんある。


 冒険は終わらない。

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