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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
終章 打倒! 悪のヤドリギ!
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ヤドリギを倒しても、まだ終わらない



 ワレスさんは猛と話したかったようだけど、兄ちゃん、戦闘が終わったらすぐまた姿消したからね。

 毎晩のように僕らのところに来てくれるのは、もしかしたら猛が戻ってないかと観察してるせいかもしれない。


「ところで、伝説の鍛冶屋がヤドリギに捕まってただろ?」

「ダディロンさんですね。無事に家に帰れてよかったです。ベロベロさんも泣いて喜んでたし」

「……ベベロンな」


 あっ、また間違えた。てへっ。

 てれかくし。てれかくし。


「ヤドリギが、ダディロンさんを捕まえてたのは、空飛ぶ乗り物を造らせたかったからみたいです。なんで、そんなものが必要だったんでしょうね?」


 ワレスさんは腕を組んだ。


「街や都市を襲撃するためだけなら、やつは魔物だ。乗り物なんて必要ない。空を飛ぶ魔物ならいくらでもいるからな。なんなら、ヤツ自身が飛べなくても、ドラゴンを乗り物がわりにすればいい」

「ですね」

「それをしなかったのは、乗り物が必要な相手を、空の上につれていきたかったからじゃないか?」


 乗り物が必要な相手。人間ってことかな?

 しかも、空限定?


 ワレスさんはうなずく。

 この人、絶対、僕の心が見えてる!


「考えてもみろ。陸続きなら馬車でも汽車でも移動手段はある。海を越えるだけなら船だ。しかし、空の上なら、空を飛べる乗り物でなければならない」

「なるほど」

「あるいは、おまえから受けとった絵本。あれに描かれた伝承にかかわりがあるのかもしれない」


 あの絵本かぁ。

 あれが魔王と関係する、とても重要な意味をふくんでるってことは勘でわかってるんだよな。


「もしかしたら、あの遺跡の研究所の場所に行くためかな?」

「その場所なら、魔物たちはすでに行き来しているんだろう? もっと別の場所だろうな」

「あっ、そうですね」

「その場所がどこなのか、興味深いところだ」


 ヤドリギが何かを企むとしたら、それは魔王の命令だ。

 調べれば、魔王が何をするつもりなのかわかるに違いない。


 そう。ヤドリギは倒したけど、アイツは四天王の一人でしかない。一人というか、一匹というか。あんなやつ、絶対、神様と同様に柱で呼んでなんかやらないぞ。

 ほかにも三人も四天王はいる。そのうち一人は猛だとしても、そもそも魔王は四天王以上に強いはずだ。

 そいつらを全部、倒すまで、真の平和は訪れない。あっ、猛は別ね。


 だからこそ、僕もワレスさんも、今この瞬間に、この世界にいるわけだ。

 お役ごめんになったのなら、とっくに目がさめてる。

 女神様だかなんだかわからないけど、あの金髪美少女は、まだ僕らをもとの世界に帰してくれない。

 この世界の謎もまだまだ残ってるしね。


「ダディロンからもくわしい話を聞いているところだ。何かわかったら、また来る。おまえたちは、しばらく好きにしていていいぞ。そのかわり、長期で旅に出るなら、前もって言っておいてくれ」

「わかりました。とりあえず、僕はエレキテルの街に行って、スマホのバッテリーがなんとかならないか聞いてみたいです。あと、シャケがどこに行ったのか探したいし」


 三村くんは消えてしまった。

 タイミングとしては、ミルキー城に入ったあとのことのようだ。

 蘭さんやワレスさんたちが宴の前で、バタバタしてたころだ。

 ちょうど、僕の財布が消えた時間帯でもある。

 まさか……僕の財布、シャケが?


「あの、ミルキー城攻略のとき、預かりボックスの一つを預けてましたよね? ミルキー城に入ってから、それにさわることができたのは誰ですか?」

「クルウだけだな。ミルキー城に到着するまでは、おれが持っていた。城内でわかれて行動するときにクルウに任せた。その後、クルウは自分のバッグのなかで保管していたという話だ」

「クルウさんはお金に困ってたりは……?」


 ワレスさんは軽く笑った。


「あいつの実家は大金持ちの貴族だ。本人も金はありあまってる。あいつ、自分の船を持ってるんだぞ?」

「ああ……そうですよね」


 それに盗みはクルウの性分じゃないな。クルウは策略家だけど、高潔な人柄ではある。


 うーん。じゃあ、やっぱり、三村くんが……?

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