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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十一章 いよいよ、ミルキー城攻略!
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何かがいる!



 一瞬、地震で洞くつの地盤が崩壊するのかと思った。

 かなり激しい振動だった。


 数分後にはやんだけど、なんだった?


「……なんか下の階層が揺れたみたいじゃなかった?」

「うん。やな感じがすうね」

「だよねぇ……」


 なんか、いる……ような?


「と、とにかく、休もうか。ロランたちにも手紙書いて、ちゃんと牢屋から逃げだしたよって報告しとかないと」


 かなり長いこと歩きまわったから、みんな疲れていた。泉の水で体力的なものは回復できるんだけど、空腹はいかんともしがたい。

 こんなこともあろうかと、非常食を買ってきてあった。


「今回はピザだよぉ〜。マルゲリータとアンチョビ〜」

「わあっ。かーくん。気がきくがね」

「美味そう! わも食っていい?」

「もちろん」

「おお、わしにもわけてくれんか? 礼は弾むぞ」

「いいですよ。いっぱい、買ったから」


 あの理不尽な武器屋に行く前に、目についたピザ屋で買っといた。

 なんちゃって中世で助かるなぁ。欲しいものは、たいてい手に入る。

 この調子なら、世界のどっかでカップ麺くらいは売ってるかもしれない。


 シルバンは石だから食事は食べない。頭から泉の水をかぶって満足してる。

 ぽよちゃんには猫車のなかの干したぽよぽよ草を食べさせた。

 ふえ子とケロちゃんは、人間とおんなじものをなんでも食べるんだよな。不思議。ケロちゃん、どう見てもぬいぐるみなんだけど……。


 ピザを食べながら、僕は片手で蘭さんあてに手紙を書いた。

 例の鏡を見つけたけど、あいだに壁があって行けないこととか。


 そのあと、ここに来るまでのことを小説に書いた。スマホの電力がだいぶ減ってきたなぁ。現実世界と違って異常に省電力だから、まだ35%以上残ってるけど、ぼちぼち充電はしたい残量。

 ミルキー城攻略が終わったら、ボイクド国にあるっていう電気製品を作ってる街ってのに行ってみたいなぁ。


 そうこうするうちに、預かりボックスがカタンと鳴った。誰かが何かを入れたようだ。


「ロランたちから手紙かな?」


 ボックスをあける。

 なかには手紙が入ってた。

 ただ、蘭さんからじゃない。

 ワレスさんからでもない。

 クルウからだった。


 ああ……クルウからか。ユイラ語で書いてあったら、どうしよう。

 いちまつの不安はあったものの、よかった。ひらいてみると、日本語だ。

 というか、もしかしたらユイラ語で書かれたものを脳内で日本語変換してるのかもしれない。日本語世界基準の謎は、そういうことなのかな?


 地下をのぞく城内の探索が終了したこと、そこに異常はなかったことなどが書かれている。手書きの城内の見取り図も同封されていた。


 クルウたちは地上部分の探索のあと、中庭で地下へ続く隠し扉を発見し、現在は城内の地下を探索中ということだ。


「城内の地下なら、僕らよりさきに鏡のところにたどりつけるんじゃないの?」

「でも、かーくん。この部屋、戸口がないやなよ?」

「えっ? そんなバカな」


 もう一回、壁のスキマから鏡の間をのぞいてみた。視線をずらして、左右を見るけど、なるほどね。アンドーくんの言うとおりだ。両側とも壁にふさがれてて、ドアらしきものがない。


「四方の壁のどこにもドアがない」


 そんなの、どこから入るんだろう?

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