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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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伝説の力



 まるで消防車から散布される放水ポンプー!

 ブッキーたちを次々、水びたしにして撃ち落としていく。

 赤いブッキーたちは火属性だから、とくに水の攻撃に弱い。みごとに弱点をついてる。


「ハハハハハ。どーだー。伝説の鍛冶屋の力は〜」


 陽気なおじさんだなぁ。


「えーと、これは?」

「わしの得意技、鍛冶のなかの一つ『冷却水』だ。鉄は早いうちに打て! そして冷やせ!」

「ありがとうございます! おかげで助かりました!」

「ハハハー。礼にはおよばんよ。牢屋から出してもらったからな」


 ブッキーたちはいっきに六十も減った。ダディロンさんの冷却水は全体攻撃のようだ。おじさんを前に出しといて、よかった。


 本のオバケは残り二十か。


「作戦変更! ぽよちゃんとケロちゃんもブッキーを倒して!」

「キュイ!」

「ケロ!」


 ぽよちゃんの爪が赤い本を青く切りさく。三体、落ちた。

 ケロちゃんは一匹だけ。

 ゴトリと本が石になる。


 ブッキーは十六体まで減った。

 一人が四発、燃えろ〜をくらうとして、ケロちゃんでもギリギリ持つだろう。ケロちゃんは炎シリーズでそろえて着てるから、火属性ダメージは40%軽減されるしね。


 モンスターのターンだ。

 あんまり、ケロちゃんに攻撃が集中しませんように!


 ん? ターンが敵に移った直後に、サラマンダーの体が赤く光った。

 あたりに熱風が吹く。

 なんだ、これ?


「うーむ。サラマンダーの火の結界だな」と、ダディロンさんがつぶやく。

「火の結界って、ターゲットが逃げられなくなる技じゃないんですか?」

「うむ。そうだ。自分のまわりに結界を張って、対戦相手を逃げられなくする。その上で、結界内に火属性攻撃の威力を倍増する風を起こすんだ」

「ええー! ダメージ二倍? ヤバイんですけど」


 二倍にダメージがはねあがるとしたら、ケロちゃんはまちがいなく、コロリ。ぽよちゃんもギリでもたないかも。HP160だから。

 計算が……僕の計算があわなくなるー。


「よし! 僕が狙われる! アンドーくんとたまりんは回復よろしく」


 僕はなるべく狙われやすいように、敵のまんなかに立ちふさがる。

 なのに……なんでだ?


「ギイギイィーキキー」


 サラマンダーがなにやら唱えると、ブッキーたちがいっせいに僕を飛びこえていくじゃないか。

 なんでだ! 僕を狙ってくれー!


 ブッキーたちは、どうやらケロちゃんに的をしぼった。丸く円を描いて、ケロちゃんをとりかこむ。


「ケロケロ……」


 もともと緑だけど、ますます青くなるケロちゃん。


 どうやら、サラマンダーがパーティーのリーダーで、ケロちゃんを狙い撃ちにしろと命令したようだ。

 モンスターなのに帽子かぶって、ちょっとカッコつけてるもんな。知力高い系だったか。


 僕は急いで走って戻った。


「ケロちゃん!」

「ケロケロー!」


 助けてェ!——と言ったらしきケロちゃん。


 ああ、でも、ブッキーたちが炎のかたまりを放った。

 燃えろ〜にしては大きい。

 火の結界のせいで、燃えろ〜だけど、もっと燃えろ〜くらいの火力になってる。


 このままじゃ、まにあわない!

 最初の火炎がケロちゃんを襲う!

 ……ところがだ。


「あれ?」


 ケロちゃんの体がふんわり青く光ると、火炎はかき消えた。

 続いて二発、三発、少し遅れてさらに六発の火の玉。

 しかし、それも、すっ、すっと消える。


 何が起こったんだ?

 わかんないけど、助かった。


 残りの火炎は僕が自ら受けとめにいく形で、ケロちゃんにダメージが行かないようにする。


「アチチ……でも、このくらいなら、かすり傷だ。ケロちゃん、大丈夫?」

「ケロケロ〜!」

「あはは……なめないでね」


 石化舌の愛情表現……。


 ブッキーたちは無念そうに飛びさっていった。

 サラマンダーの剣の攻撃は、僕が盾で受ける。盾越しだけど、ちょっとジンとしびれる。

 サラマンダー、強いなぁ。

 仲間になったら頼もしいんだけど、今は蘭さんがいないからな。


 そのまま、今度はこっちのターンだ。

 サラマンダー隊長が逃げだす前に、ケロちゃんの自動石化攻撃が発動した。


 ペロリン〜!


 ああ、サラマンダー。石になったよ。

 石化に弱かったんだね。

 だから、ケロちゃんを狙ったのか。

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