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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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秘密の地下道



 地下牢を進んでいく。

 ときどき、見張りの兵隊と出くわすが、壁ぞいに暗がりを走るぽよぽよを見ても、「わッ! なんだ。ドブネズミか? デッカイなぁ」としか言わない。

 僕らを怪しんでないね。

 むしろ、たまりんを見て、「えっ? えっ? ひ、火の玉? 人魂だー!」とさわぐ兵隊もいたけど、脱獄だとは思ってない。


 ぽよちゃんは走る。

 ぽよちゃんは速い。


 地下は何層にもなってて、そのすべてが地下牢だ。

 ぽよちゃんは牢屋のあいだをかけぬけていった。

 最下層には、いつからそこにあるのかわからないような古びたドクロが……。

 ああ、イヤな感じがする。

 オバケが出そう。

 空気もなんかドヨンとしてきたなぁ。


「キュイ、キュイ。キュキュウ」


 やがて、ぽよちゃんは立ちどまった。

 壁が割れてる。

 ぽよぽよならくぐれるけど、ふつうの状態の人間には通れない。


「ここが秘密の地下道とつながってるんだね?」

「キュイ」


 上の階がなんか、さわがしくなってきた。もしかしたら、僕らがいなくなってることがバレたのかもしれない。

 ヤバイぞ。追っ手がかかる。


「よし。じゃあ、行こう」


 僕らはぽよちゃんに乗ったまま、壁の割れめをくぐった。

 地下牢のなかも冷気が淀んでいたものの、壁をくぐったとたん、あきらかに空気が変わった。

 寒いわけでもないのに、なんか、ゾクゾクするんだよなぁ。

 イヤ〜な感じがする。


 それはさておき、目の前に猫車があった。


「あっ、ケロちゃん! シルバン!」

「ケロケロー!」

「バーン!」


 ん? シルバンがしゃべった。

 そうか。シルバンもしゃべるのか。

 クマりん、しゃべった事件パート2。

 無口な子たちも基本、声は出せるんだね。


「てかさぁー! ケロちゃん、なめないでェー! 石化舌だよね?」

「ケロ?」

「なまあったかいよ……」

「ケロケロ?」


 うーん。愛情表現。愛情表現。

 とりあえず、石化対策はしてある。大丈夫。石にならない。

 仲間の愛情表現におびえる日々。

 可愛いんだけどね。


 はぁ。とにかく、これでパーティーメンバーはもとに戻った。

 僕、アンドーくん、ぽよちゃん、たまりん、ケロちゃん、シルバン。

 NPCが、ふえ子とイケノくん、ダディロンさんだ。

 戦闘員じゃないけどクピピコも増えた。


「じゃあ、クピピコ。僕らをもとの大きさにして」

「うむ。では、また拙者の力が必要になれば、いつでも呼ばれるがよし。さらばだ」

「うん。また話そうね」


 サッとひらめくコビット王の剣!


「イタッ!」

「イテテ……」

「……ううッ」

「アウチッ!」


 牢獄をぬけだす代償の痛み。

 このくらいなら許せるか。

 クピピコ、今回もありがとう!


 またたくまに体が大きくなっていくのがわかる。

 よかったよ。

 これで火焙りだけはまぬがれた!


 それにしても、あらためて、あたりを見まわすと、そこは……ん? これは、遺跡か? 前に銀晶石の森で見た遺跡の景色に似てる。銀ちゃんと戦った、あの場所だ。


 変だな。

 ボイクド国とウールリカはその昔、一つの巨大な国だったって話だけど、ミルキー国もそうなのかな?

 それとも、ここはここで別の国だったのか?


 僕らはしばらく、遺跡のなかをさまよった。

 遺跡っぽい人工の壁と天然の鍾乳洞しょうにゅうどうが、半々くらいでまざりあっていた。

 洞くつを利用して、あとから遺跡が造られたってことかな。


「ああ……ダンジョンだねぇ。お金拾うよ」


 言ったとたんに、戦闘音楽が……。



 野生のサラマンダーが現れた!

 野生の火竜の子が現れた!

 野生のビッグブッキー(赤)が現れた!

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