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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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地下牢脱出!



「コピコピ。ピココピピ。コビットコン、ピラー!」


 うーん。あいかわらず難解な言語。コビット語。

 でも、コビットコンっていうのが、コビット王とか、コビット王の剣とかを指してるらしいことは、これまでの会話でなんとなくわかった。

 たぶんだけど、クピピコがコビット王の剣をたずさえてお助けに参りましたぞよ、とかなんとか、そんなことを言ってるんだと思う。


「ありがとう。クピピコ。じゃあ、さっそく、僕らをつついてもらえるかな? あっ、ちょっと待って。小さくなったら預かりボックス持ちあげられなくなるから」


 僕はカバンから出して床に置いていた預かりボックスを、ミャーコポシェットに収納する。

 どんな大きなものも際限なく吸いこむミャーコ。食いしん坊。持ちぬしの個性が適用されたのか?

 近ごろは僕が見つけたお金を指さすと、自動で吸いこんでくれる。まあ、額が増えて、いちいち拾ってたら時間かかるんで、行軍の支障になるからさ。


「えーと、今日だけでも五百億拾ってるなぁ。預かりボックスに入れたら、預かり所に預けたあつかいになるよね? ちょっと入れとこ。全滅してもなくさないし、傭兵呼びのとき、いっぺんに大金使わなくてすむし」


 五百億円だと百分の一でも五億円だ。

 使うのはかまわないんだけど、所持金が減ってしまうと、それだけ敵に与えるダメージも減ってしまう。全財産なげうつって技が使えるようになったときのために、できるだけ出費は抑えておきたい。


 僕は財布のなかのお金を、ザラザラと預かりボックスになげこんだ。

 その上で預かりボックスをポシェットに入れた。


「はい。いいよ。準備オーケー」

「コビットコン、ピラー!」


 チクンっと足元に注射ー!

 毎度なんだけど、それなりに痛い。


「かーくん殿。拙者の技が今一度お役に立ちもうして、欣喜雀躍きんきじゃくやくにござる」

「ありがとう。ちょっと痛いけど、助かったよ。アンドーくんと、イケノくんもよろしく」

「お任せあれ! 行けー! コビット王の剣よ!」


 なるほど。『コビットコン、ピラー!』は、コビット王の剣よ、行け! なわけね。

 ちょっとずつ覚える他種族言語。


「アイテテ」

「イタっ」


 アンドーくんとイケノくんも注射の洗礼を受けて、ぐんぐん体がちぢむ。ニ〇スの冒険ふたたびだ。


「わあっ、こまなった。こまなった。これ、どげしたで?」


 イケノくんは初めてだから、はしゃいでる。


「うん、まあ。説明はあとでするとして、早く逃げだそう。もしも見まわりの兵隊が来たら困るから」


 身長十センチの僕らは、五センチ間隔の鉄格子のあいだを、なんなくすりぬける。スルっとね。もう、スルっと。


「このさいだからさ。このまま、地下を探索しようか。ロランが話してた秘密の地下道っていうのを探そう」

「そげだね」

「うまくしたら、問題の鏡も見つけられるかもしれないしね」

「うん。行ってみらか」


 地下牢のなかは、まだダンジョンではないようだ。

 ろうかの両側に鉄格子で仕切られた牢屋がならんでいる。

 牢屋の数、多いなぁ。

 ミルキー城はミルキー国の王都の城だから、犯罪者の数も多いんだとは思うけど、それにしても百室はある。


 コビットサイズの僕らにとって、くまなく歩きまわるには、ちょっとやっかいな広さだ。


「……ふう。疲れてきたね。もとのサイズに戻る?」

「でも、そげしたら兵隊に見つかぁだない?」

「そうか。脱獄が知れ渡るといけないもんね。兵隊の配備が厳しくなってしまう。アンドーくんの隠れ身はずっと使えるわけじゃないから、肝心なときのために、とっときたいしね」


 そのときだ。

 ハツカネズミサイズの僕らの前に、赤い目をピカピカ光らせた巨大なモンスターが現れた!


 ギャー! どうしよう。

 猫? ノラ猫? それか、ドブネズミとか?

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