表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
329/377

君に届け、預かりボックス!



 さっそく手紙を書いた。

 日本語で書いたけど、よこで見てたアンドーくんが何も言わないから読めるんだろう。

 あいかわらず、便利な世界だ。

 どうも夢じゃなくて、異世界召喚みたいだけど、そのへんはどうなってるんだろ? 日本語が世界基準なのか?


「これで、あとは返事を待つだけだね」


 蘭さんができるだけ早く気づいてくれるといいんだけどなぁ。

 明日の朝っていうのが夜明けって意味なら、火焙りまでにあんまり猶予ゆうよがない。

 火焙りはイヤー! 火焙り反対ー!

 はぁはぁ……。

 お願いだー。蘭さん。早く気づいてくれぇー。


 僕はたぶん、十秒ごとに預かりボックスの扉をあけてみていた。

 なんの変化もない。


「まあまあ、かーくん。落ちつくだわね。ロランやつも王様と会って、大変だと思うわ」

「うん。まあね。王様はヤドリギに取り憑かれてるかもしれないもんね。今、何時ごろかなぁ?」

「まだ捕まってから三時間ぐらいしか経ってないだない?」

「そうか。王都についたのが昼ごろだから、夕方くらいかぁ。ぽよちゃんたちが心配だなぁ。モンスターだけで街なかにとり残されて、人間にイジメられてないかなぁ」

「みんな、猫車に乗っとったけん、見つかっとらんとは思うけど」

「そうだねぇ……」


 ああ、連行される僕のほうを見ながら、心配そうに「キュイー!」と叫んでたぽよちゃん。

 愛猫を戦地に置き去りにしてきた気分だ。あっ、これは猫好き的に、そうとうツライって表現だよ?


 長旅のせいもあって、疲れが出たのか、そのあとちょっと、うたたねしてしまった。


 こういうときはアレだよね。

 夢を見てしまう。


 ——かーくん。かーくん……。


 えっ? 僕?

 いや、違うな。

 僕のような僕じゃないような僕が、金髪碧眼の美少女と、それは楽しそうに談笑している。

 いいなぁ。うらやましいー。


 すると、その背後から僕らを見つめる人影があった。

 んん? 誰だ? 猛か?

 猛っぽいけど、猛じゃない。

 猛より少しだけ肌色が浅黒いよね。

 兄ちゃんも日焼けはしてるけど、これはもう日焼けとかじゃなくて、褐色。黄色人種の肌じゃない。

 なんか、すごい怖い目で僕らのことにらんでるなぁ。


 と、さらに背後から誰かが、その猛もどきに声をかけた——ような気がした。


 そこで目が覚めた。

 すべては夢だった。


「うーん……」


 なんだか、またあの女神様っぽい人に声をかけられたような気がしたんだけどなぁ。


 ぼんやりしていた僕は、預かりボックスの扉がカタン、カタンと動いているのを見た。

 あわてて、ひらく。


「クピー。コピコピ。クピピコ、ピーピコ」


 あっ、やったー!

 クピピコがボックスのなかからとびだしてきた。

 これで、やっと牢屋から脱出できるぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ