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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
324/377

ミルキー城目前



 二日後。

 僕らはミルキー国の王都の手前までたどりついた。

 道々、ときどきモンスターは出たけど、その後はクラウディ村のような怪異はなかった。


 王都の城壁が見えてきたとき、馬車はいったん停止した。

 僕らは下車して、最後の作戦会議をかわす。


「予定どおり、ここから二手にわかれよう。おれたちは、らんらん姫を護衛して王城へ向かう。クルウの隊もな。かーくんの隊は別行動だ」と、ワレスさんに念を押されて、僕はうなずく。


「かーくん。気をつけてくださいね」

「うん。ロランもね」

「預かりボックスをこまめにチェックしましょうね」

「うん。何かあったら必ず報告するよ」


 僕らの猫車だけ残して、ワレスさん、蘭さん、クルウの馬車は城門をめざしていく。クルウの隊だけは城内に入ってから別行動に移る計画だ。そのほうが王城への侵入がたやすいからだ。


 僕らは完全に存在を隠した隠密部隊として、都に入る前にわかれておく。

 イケノくんは僕らについてきた。


 お城には秘密の地下道があって、蘭さんによると、それは町なかにつながっている。僕らはその秘密の地下道から、こっそり地下へ入っていく予定だ。


 蘭さんたちを見送った僕らは、城門をさけるために、ある場所にむかった。


「あっ。ここだ。ここだ。ほら、ここに扉がある」

「あっ、ほんとだね。上手に隠されちょうね」


 それは蘭さんといっしょにミルキー城の城下町から逃亡するために使ったぬけ道だ。

 RPGの宿命とは言え、ミルキー国には、あちこちに秘密の地下道があるなぁ。シルキー城にもあったし。お国柄かな?


「すでに懐かしい気がする。レベル1だったんだよなぁ。あのころ」


 スライムを木刀でポコポコ叩いてたころの僕。あのころにくらべたら、ずいぶん成長した。

 あんな形で追放された始まりの街が今、まさか魔王の四天王に占拠されてるとは、妙に感慨深い。

 ちゃんと追いだされたのには理由があったんだなぁ。レベル1でウロつけるところではなかったわけだ。


 城壁からちょっと離れた森のなか。

 小山の下にトンネルがあった。

 ツタや草で隠れてるけど、そこに扉がある。


 僕らは扉をあけてトンネルに入っていった。内部の配置というか、間取りは以前と同じなんだけど……出てくるモンスターが強い。

 と言っても、ミニドラゴンや見習いガーゴイルやコウモリ男だ。

 以前、サンディアナが襲われたときに出てきたモンスターたち。レベルがサンディアナのときより少し高いようだ。

 ここに住んでたスライムたちが大挙して逃げだすはずだよ。

 でも、今の僕らには、ぜんぜん敵じゃない。かるくけちらして進んでいく。


「ああ、楽しみだなぁ。このトンネルをぬけたら、やっと始まりの街を堪能できるんだぁ」

「かーくん。今は街のなかもモンスターだらけだと思うよ。気ぃひきしめらんと」

「うん。わかってるよぉ」


 とは言え、最初に見れなかったぶん、期待値が高まる。お城に行く前に、ちょっとは街ブラしたいなぁ。


 なんて、僕は思ってたんだけどね。

 甘かったんだよね……。

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