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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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お母さん戦!5



 行動権を奪ったお母さんは、やっぱり村人を呼んだ。

 ターンがかなり進んでるので、1ターンで十人も呼んだ。二人ずつのペアを五回呼んだわけだ。

 キリがない。

 次のターンには十二人も呼ぶのか。

 またたくまに、さっきみたいに、わんさか囲まれるぞ?


 そのときだ。

 僕のとなりで幸せそうに鼻ちょうちんふくらませてたぽよちゃんが、とつぜん、はねた。ものすごい速さだ。

 はねるはMPがいらない。ためるもいらない。職業スキルや得意技はたいていMPを使用しない。

 だから、好きなだけ、はねることができるわけだ。それにしても、とつぜんどうしたんだろう?


 と思うと、今度は連続で、ためた。

 アルテマハイテンションだー!

 ぽよちゃんの体に赤いオーラがつく。


 よしよし。これで少なくとも一人はスタンにかからないぞと僕は思ったんだけど。

 ぽよちゃんはなぜか、ぽよぽよにできる最高の笑顔でかけよってくると、僕にむかって両手をあげてきた。

 はい。ハイタッチ〜

 急になんだろ?


「キュウ〜イー!」


 その瞬間だ。

 ぽよちゃんとかさねた両手から、圧倒的な力が流れこんできた。

 こっ、これは!

 もしや、アルテマハイテンション?

 なんで? 僕はまだ《《ためて》》なかったのに。なんでアルテマハイテンションになってるんだ?


 直後、お母さんは泣きマネを使った。けど、僕とぽよちゃんはアルテマハイテンションだ。

 スタンは通用しない。


 通常どおりに動ける!


 僕は素早さもマックスだから、スタンにさえかからなければ、1ターンで十回以上、行動できた。

 なにしろ敵がレベルの低い村人だから、素早さ3とかだ。早くても20未満。十回どころか、三、四十回は動けた。あるいは、それ以上。


 テンションは一回でも直接攻撃すると、もとに戻ってしまう。

 なので、燃えろ〜を使って、村人たちの鼻ちょうちんを次々と割っていく。ちなみに、燃えろ〜は魔法の秘伝書で覚えた。

 村人は大勢いすぎて、自分がターゲットになってもわからないようだ。鼻ちょうちんをふくらませて魔法を回避する例の技を使わない。


 プチプチプチ。

 プチチプチプチ。プチ。


 よし! 村人を全員、眠らせた。

 いやまあ、最初から寝てはいたんだけどさ。


 残るはお母さん一人だ。

 泣きマネは1ターンのあいだに一度しか使えないらしい。

 ひきつった顔で僕を見ている。


「すいません。ちょっとコツンとします」


 僕は頭を下げてから、お母さんに、ひざカックン!

 キマッた。

 お母さんが白目をむく。

 喉のところがモコモコと動いた。

 今だー!


「ヤドリギ、退散ッ!」


 かるーく空手チョップをくらわせると、キェーッと変な悲鳴をあげて、アンドーくんのお母さんの口から黒いモヤモヤがとびだしてきた。グルグルらせんを描いて、ヤドリギのカケラは消滅した。


 パーンと破裂音のようなものが周囲に響きわたる。

 魔法の解ける衝撃音だ。

 クラウディ村は邪悪な魔法から解放された。


「お袋! ミドリ! アカネ!」


 アンドーくんが走っていって、家族を抱きおこす。


「お袋! 大丈夫かね?」

「……ミツルだ? どげしたかね? あんた、泣いちょうかね?」

「なんでもないわ。ケガしちょらん?」

「ケガ? なんでかいね? はぁ、なんか知らんけど変な夢見ちょったやな気がするわ」


 村人たちも次々、目をさましてくる。

 よかった。

 みんな、もとに戻った。

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