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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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お母さん戦!4



 わあっ。炎のオーロラだぁー。

 キレイだなぁ。

 すごい。すごい。


 あっ、見とれてる場合じゃなかったぞ。


 火炎が風に乗って、村人たちをなでる。

 プチプチプチプチ、プチトマト!

 プチ。プチ。

 村人たちは火の粉をあびて失神した。


「なんだったんだ? 今の?」

「馬車のなかからでしたよ」

「ふえ子や。ふえ子が火ィ吹きよったで」


 なるほど。たしかに、ふえ子はフェニックスの子どもだ。だからこそ、略して、ふえ子。

 火炎ブレス攻撃はできる。


「そうだった。前も助けてくれたんだっけ」

「ありがとう。ふえ子」

「ピ〜ピ〜!」


 よし。村人が一掃された。

 これでなんとか、チャンスはできた。

 でも、泣きマネされたら、また動けなくなるんだよな。どうしたらいいんだろう?


 蘭さんが冷徹な眼差しで指示を出す。


「前衛をバランからケロちゃんに交代。ケロちゃんは自動発動で石化攻撃できる。さっきから見てたら、薔薇は必ずターン始めにかかってた。きっと、ケロちゃんの自動石化も発動する」

「あっ、そうだね。でも、必ず効くわけじゃないし、ターゲットを選べないよね? お母さんを狙えないんじゃない?」

「そのためには、村人を毎ターン片づけとかないと」


 ふえ子はNPCのようで、いつも戦ってくれるわけじゃない。僕らのピンチを見かねたときにだけ、技が出るようだ。子どもだから、自分で技をコントロールできるわけじゃないんだろう。

 ふえ子にばっかり頼ってはいられない! 僕らでなんとかしないと。


「スタンさえかからなければ、やれるんだけどねぇ……」

「スタンですよね。やっかいだなぁ」


 逆に言えば、僕が泣きマネをおぼえたあかつきには、とても役に立つ技なんだけど、敵にやられると、ほんとに困る。


 遠くのほうから、ワレスさんの声が降ってきた。魔法で心の声を遠くに伝える、心話ってやつのようだ。


「おまえたちに加勢してやりたいが、今はこっちを食いとめるので精一杯だ。スタンはアルテマハイテンションで無効化できる。“ためる”を使えるメンバーで乗りきれ」


 おおーっ。ありがたい助言。


「ためるは戦士の職業スキルだよね。全員、使える」

「そうですね。特訓のときに全員、戦士にはなったから」


 モンスターたちも職業のツボを使って、みんな戦士はおぼえた。

 なので、ためるは使える。ただ問題は“ためる”前に泣きマネされると、テンション上がる前に金縛りになってしまうことだ。

 アルテマハイテンションになるためには最低でも四回、ためなきゃいけない。素早く、四回もためることができるメンバーは限られてる。僕と蘭さん、はねるを使ったぽよちゃんくらいか。


 蘭さんが言った。


「じゃあ、前衛は僕、かーくん、ぽよちゃん、ケロちゃんで。全員でテンションをあげていきましょう!」

「わかった」

「キュイ……」

「ケロケロ〜」


 相談してるそばから、いきなり、アンドーくんのお母さんは泣きマネを使った。

 またターンのっとられた!

 こんなんで、ほんとにアルテマハイテンションまで到達できるのか?

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