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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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お母さん戦!3




 ふと夜中に目がさめると、体が動かない。意識はあるのに指一本、動かすことができない。まるで体が鉛のようだ。自分の体が棒と化してしまった——


 という体験を誰でも一度はしたことあるんじゃないだろうか?

 アレだ。まさに、アレ。

 まわりは見えてるし、聞こえてる。

 意識もある。

 でも、体だけが動かない。


 どうしたんだ、僕?

 と思って周囲を見ると、どうやら僕だけじゃない。蘭さんやバランや、ぽよちゃんたちも身動きとれないで四苦八苦している。


「なんだろ〜。動けないんだけど〜」

「ですね。これって、ターンが移ったときの感じじゃないですか?」

「ん? ターンが……?」


 僕は思いだした。

 以前、どこだったかで戦った動く死体が、なんか、こんな攻撃してきたような? のっとるっていう技。こっちのターンをのっとって、残り行動をとばしてしまうんだった。


「スタンだ! 泣きマネって、相手にスタンをかける技なんだよ。しかも、敵ターンの途中でも発動できて、未行動はとばされちゃうんだ」

「でも、そんな状態異常ありませんよね?」

「スタンはあつかいが状態異常ではないんだと思う。予防できないから、ある意味もっともやっかいな異常かも。前にこれに似た攻撃してきたモンスターがいたよ」

「どうしよう……」

「わかんない」


 対処法を思いつかないうちに、アンドーくんのお母さんは仲間を呼んだ。おじいさんとおばあさんがパジャマ姿でやってくる。


 しかし、まだこの状態なら最初のターンといっしょだ。よくも悪くもなってない。

 次のターンで決着をつけられれば……。


 そんなふうに考えたのも、つかのま。

 次のターンの開始直後。

 薔薇の自動発動とともに、お母さんは泣きだした。

 ええーッ! ズルくない?

 これじゃ、ぜんぜん動けないんだけど!


 お母さんが泣きながら仲間を呼び続ける。あっというまに、まわりにはクニャクニャダンスを踊る夢遊病の村人が数十人も集まってしまった。


 これじゃ、いくらこっちのターンになっても、村人に阻まれてお母さんにたどりつけない。


「お袋ーッ! もうやめてごせや。正気に戻ってごせー!」


 アンドーくんの魂の叫びも、ヤドリギにあやつられたお母さんの耳には届かない。


 もうダメだ。

 この数じゃ、ぽよちゃんの夢遊拳でも倒しきれない。

 村人の夢遊拳は弱いけど、さすがにこの調子でかこまれたら、逃げだすこともできないし、そもそも抵抗するためのスペースがなくなってしまうじゃないか?

 そのうち、おしくらまんじゅうみたいになってるとこを捕まってしまうかも?


 ていうのも、この人たち、さっきから、なんとなく僕らをどっかにつれていこうとしてるっぽい。悪のヤドリギに勇者を引き渡そうとしてるんじゃないかな?

 ヤドリギを倒しに行く途中ではあるんだけど、捕まるのと用意万端で乗りこむのでは、ずいぶん状況が違ってくるんだよな。困った。これは困った。


 絶望しかけたときだ。

 とつぜん、どこからか炎が吹きあれた。

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