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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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お母さん戦!2



 やっぱりお供がいたのか。

 それも、アンドーくんの妹たち……。

 アンドーくんの兄妹はこの二人だけだ。ほかに呼ばれて出てくるとしたら、お父さんと、おじいさん、おばあさん。その前になんとかしないと!


「両側の二人は夢遊拳ですね。ヒラヒラかわすだけで攻撃力は低い。あとまわしにしましょう」

「わかったよ」

「せやな。お袋さん、かんにんな」


 まずは僕の攻撃。

 もちろん、その前にターン開始時、薔薇はかかってるんだけど。

 例のごとく、足ぶみをいっぱいして、素早さを高める。

 アンドーくんの家族にムダに痛い思いをさせないためにも、一、二ターンのうちに終わらせたい。そのためにも、いっぱい、いっぱい足ぶみする。


 よし、じゃあ、やるぞ。


 僕はタタッと走って、お母さんに近づく。

 鞘つきの剣で、ひざカックンしようと思ったんだけど……。


 ふらり。

 ふらり。


 僕の前に二人の人影が立ちふさがる。

 妹ちゃんたちだ。

 十五歳と十六歳。

 どっちもアンドーくんに似て可愛いよね。アンドーくんちは美形一家だ。お父さんも今は頭薄くなってたけど、けっこうハンサムだったもんな。

 妹ちゃんたちのくつしたなら、はける……。


 ハッ! かーくん、しっかりしろ!

 いかん。いかんぞ。

 女色におぼれるところだった。


 僕はお母さんのところまで行きたいのに、妹ちゃんたちがクニャクニャしながら行く手をふさぐ。

 作戦とは外れるけど、ここはお供から倒すしかないのか?

 しょうがない。

 鼻ちょうちんさえ割れればいいんだよな。


 僕は美少女たちの鼻ちょうちんを剣のさきでつつこうとする。が、速い! 動きが読めない!

 ヒラリ、ユラリとかわされる。

 ダメだ。やっぱり、夢遊拳、強し!

 こっちの素早さをマックスまであげるために、僕は走りまわった。


「かーくん! がんばって!」

「私が加勢しましょう。乗りこなすランクが上がったので、はねるも使えるようになりました」


 背後から蘭さんやバランの声がする。

 そういえば、くぽちゃんは夜なのに起きてるな。なんでだ? 夜ふかし派なのか?


「あっ、ちょっと待って! シャケとぽよちゃん、前衛後衛を交代してくれる? ぽよちゃんの夢遊拳なら一発で割れるから」

「じゃあ、ぽよちゃん。お願いします」

「キュイ……」


 ぽよちゃんは寝ながらやってきた。

 はねるを使いながらかけてきたので、僕のところにたどりつくまでに、素早さが倍増されていた。

 寝てても、ちゃんと戦えるんだなぁ。

 夢遊拳。スゴイ。


 寝ぼけながらチョコチョコ走る白ウサギ。可愛いなぁ。戦場のいやし、ぽよちゃん。


 しかし、攻撃はキレてる。

 ぽよちゃんの前足がシャッ、シャッと舞うと、夜の暗闇を青く切りさく。パチン、パチンと妹ちゃんA、Bの鼻ちょうちんが弾けとんだ!


 僕は二人の背中にトスン、トスンとかるく剣を押しつける。

 HP20とか30とかの人たちだ。

 ムダに大ダメージをあたえてはいけない。


 女の子二人はムニャムニャ言いながら倒れた。


 よし! これで、あとはお母さんだけだ。

 予定とは違ったけど、僕はマックスまで素早さあげたんで、まだ十回やそこらは動けそうだ。これなら問題なく、お母さんも失神させられる。


 僕はお母さんに近よっていったんだけど……。


「すいません。ごめんなさい。ちょっと、コツンとしますよ」


 お医者さんが注射する前に「チクッとしますよぉ〜」と予告するかのように、僕が宣告したときだ。


 急にアンドーくんのお母さんは泣きだした。

 で、出た? 泣きマネか?


 しくしく。しくしくしく……。


 ヤダなぁ。胸が痛いじゃないか。

 こっちだって、叩きたくて叩くわけじゃないんだよ?

 でも、ダメダメ。

 ヤドリギのカケラをとりのぞかないと、この人はずっとあやつられたままなんだ。


 僕は心を鬼にして、剣をふりあげた。

 いや、あげられない!

 手が動かない!

 なんだコレーッ?

 金縛りィー!

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