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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二十章 ミルキー城をめざせ!
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ヤドリギはこの人



「ええーッ? ま、まさか、この人が?」

「ああ。まちがいない。コイツだな」

「そんな! ぜんぜん、そんなふうに見えなかったのに」

「ヤドリギのカケラは体内に入っただけでは、近親にも判別が難しいのだろうな。つねにあやつられているわけではなく、ときおり悪のヤドリギの意識に、思考を乗っ取られてるのかもしれない」


 信じがたい。でも、これが真実だ。

 その人のおもてに、たったいま浮かぶいびつな表情を見れば、もはや疑いはない。

 あんなに善良な村人だったのに。

 今は根性の悪さが前面に出ている。


 アンドーくんが叫んだ。

「お袋! しっかりしてごせや!」


 そう。それは、アンドーくんのお母さんだった。

 猫車から降りて、いつのまにか、そこに立っている。


「ムダだ」と、ワレスさんがアンドーくんの肩を押さえた。

「こうなれば、戦闘不能にするよりほかない。母を痛めつけることはできないだろう。おまえはさがっていろ」

「でも……」


 そりゃ取り憑かれてはいてもお母さんだから、アンドーくんは気が気じゃないだろう。

 僕はアンドーくんの手をひいて、さがらせた。


「ここは僕らに任せて」

「う、うん……」

「大丈夫。手かげんはするよ」

「うん。頼んよ」


 戦闘音楽が流れてきて、いよいよ、アンドーくんのお母さんと一戦——

 というときになって、まわりにやたらと村人が集まってきた。

 正体がバレたので、ヤドリギがあわてて、あやつり人形たちを呼び集めたのだ。


 ワレスさんは舌打ちをついた。

「ザコはおれがやる。おまえたちはヤドリギをやってくれ」

「わかりました」


 ワレスさんは戦線離脱。

 残念。

 でも、迫りくる無数の人たちを一人でいなせるのは、ワレスさんだけだ。


 蘭さんが言った。

「かーくん。せっかくだから、後衛戦してみましょう」

「そうだね」

「じゃあ、前衛は僕、かーくん、バラン、シャケ。後衛はスズラン、たまりんで」


 スズランとたまりんは補助魔法や補助スキルが豊富だからね。

 ところが、アンドーくんがかけよってくる。


「わも後衛に入るわ。世界樹の枝先で回復くらいはできぃけん」


 僕は蘭さんと顔を見あわせた。

 まあ、黙ってみてられないというアンドーくんの気持ちはわかる。


「じゃあ、アンドーも入ってください」

「うん……」


 ああ、アンドーくん。

 ほんとはツライだろうになぁ。

 見てられない。


 誰かに取り憑いて意識をのっとるってだけで、悪のヤドリギは充分にクズだ。けど、それをこうやって家族や友達と争わせようとするところが、ほんとにクズのなかのクズだよね。


 ポルッカさんのときも、そうだった。

 ポルッカさんが大切にしてるものを、ポルッカさん自身の手で、わざと破壊させようとしていた。


 今度は息子のアンドーくんをお母さんと戦わせようとしている。

 もしかしたら、あえてのそのための人選なのか?


 くそォー。ヤドリギめ。

 許さないぞ。



 アンドーくんのお母さんが現れた!

 アンドーくんのステータスが激減した!



 えっ? 激減するんだ。

 てか、思ったとおり、アンドーくんのお母さんは野生じゃない。

 魔王軍あつかいか。

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