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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第七部 決戦! ミルキー城 十九章 ミルキー城潜入作戦
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誰がヤドリギなのか?



 次々に押しよせるクラウディ村の人々。

 小さな村だけど、住人はそこそこいたようだ。広場のまわりには千人近く集まっていた。

 大人も子どもも老人も、みんな夢遊病になって、クニャクニャと襲いかかってくる。


 蘭さんたちの馬車はまんなかだ。

 そこまで到達してくる村人は少ない。

 前後の馬車にそれぞれ、ワレスさん、クルウがパーティーリーダーになっているので、押しよせる村人を中央の馬車までよせつけない。


 スゴイねぇ。さすが、ワレスさんだねぇ。

 たぶん、『プチサンダー°˖✧︎◝︎(⁰▿︎⁰)◜︎✧︎˖°』なんだと思うけど、小さな雷を落としまくって、しかもそれを風の魔法で拡散してる。


 プチプチプチ、プチトマト!

 あっ、そうじゃない。

 まきおこる突風の渦のなかで、プチプチプチプチと鼻ちょうちんの割れる音が、いっせいに鳴り響く。

 風がやんだあとには多数の人が倒れていた。プチサンダーのオマケでマヒ状態になっているようだ。


 一回、風が吹きあれると、百人単位の人が倒れていく。

 一騎当千というのは、このことですね。これが千人じゃなく一万人相手だったとしても、ワレスさんなら一人で対処できただろう。


 クルウのほうは——こっちも剣の舞で複数人ずつ倒してる。剣の舞とは言うけど、武器をムチに持ちなおして、村人が大ケガしないよう配慮もされていた。

 ムチ二刀流の剣の舞だ。

 こっちもプチプチプチプチ、プチトマトー!


 これなら、囲みの外のほうは安心だ。

 僕らは苦戦してるようすの蘭さんたちのところまで走っていった。


 そこに行きつくまでのあいだ、一歩走るごとに戦闘音楽が鳴るんだけど、そのたびに、ぽよちゃんが夢遊拳で相手の顔面に頭突きしてくれた。

 夢遊拳には夢遊拳が有効!

 相手のクニャクニャした動きに、こっちもクニャクニャで返すから、夢遊拳特有の回避率を相殺するらしい。

 チャララッと戦闘開始音楽が鳴りかけると、そくざにやむ。鳴りかけるとやむという、くりかえし。


「ロラン! 助けにきたよ!」

「かーくん!」

「ケガはない?」

「ケガはないけど、この人たち、変な動きで攻撃をよけてしまうんです!」

「それは夢遊拳ってやつなんだよ。鼻ちょうちんを破裂させると目をさますから、そのすきに倒すんだ」

「なるほど!」


 プチプチ。プチ。

 プチプチプチプチ、プチトマト。

 プチ。


 それから一時間、僕らは鼻ちょうちんを割り続けた。

 この戦闘、いつまで続くのかなぁ……?

 さすがに疲れてきたよ。


 それでも外殻の村人たちは大半、気絶したようだ。

 向こうから、ワレスさんが走ってくる。


「無事か? ロラン」

「はい。なんとか」

「村人たちは何かにあやつられているようだ。おまえたちが言っていた、ヤドリギのやりかたではないか?」


 僕はポルッカさんの屋敷でのことをくわしく話した。


「あのときといっしょです。村人のなかに、ヤドリギに取り憑かれてる人がいるんです」

「そいつを倒さないかぎり、村人は何度でも起きあがり、襲ってくるわけか」

「まあ、そうですね」


 ワレスさんはマヒかけてたけど、マヒはターン経過で自然治癒するからねぇ。戦闘不能にしても、邪悪な魔法のせいで復活するみたいだし。


 困ったぞ。

 誰がヤドリギなんだろう?

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