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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第七部 決戦! ミルキー城 十九章 ミルキー城潜入作戦
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クラウディ村の怪(ホラーっぽいタイトルがつけてみたかった)



 クラウディ村はすっかり邪悪な魔法に支配されてしまっているようだ。

 街路をひたすらかけていくあいだ、あっちからフラリ、こっちからユラリと、夢遊病の人たちが現れる。

 そのたびに戦闘になった。

 しかしもう、こっちは夢遊拳の撃退法を会得していた。


 しのびよって鼻ちょうちんさえ割ってしまえば、そのすきにコツンとやっつけられる。

 どの人もただの村人だから、HPはすごく低い。たいていはレベル1。強くてもレベル10なので、一撃で気絶させられる。たいてい一人か二人でしか出現しないし、楽勝だ。


「なんで、みんな、パジャマや帽子やくつしたをドロップするんだろ? それも必ず“眠りの”って冠されてるんだよね」


 おじさんがさっきまではいてたと思うと、くつしたはバッチぃ気がする。せめて洗濯してからじゃないと。

 いや、それでもイヤか?

 おじさんだしなぁ……。


 でも、ふらりと現れた子どもがくつしたをドロップした。


 僕はふと思いたって、ぽよちゃんに、はかせてみる。可愛いっ。

 どうせ寝てるだけなんで、装備品のアラビアンナイトをぬがせて、パジャマと帽子も着せてみた。可愛いっ。


「あはは。可愛いよ。防御力は下がるけど」

「あはは。かーくん、遊んどらんでよ。早やに行くよ?」


 歩きかける僕らの前に、ストンとぽよちゃんが猫車からおりてきた。


 あれ? 目がさめたのかな?

 いや、違った。目はとじてる。そ、それに……こっ、これは……もしや、鼻ちょうちんでは?


「そうか! これ、帽子、パジャマ、くつしたとセットで装備すると、夢遊拳が使えるようになるんだ!」


 鼻ちょうちんが出ちゃうので、万人が着れるというものではない。

 少なくとも、僕はイヤだ。

 ワレスさんや蘭さんも許されないだろう。

 まあ、ぽよちゃんなら許される範囲内。鼻ちょうちんも、またよし!

 可愛いんで、そのままつれ歩いた。


「あッ! 人が倒れてる!」

「あッ! お袋だ!」


 アンドーくんのお母さんだ。

 いったい、こんなところでどうしたんだ? 夢遊病にかかってるんじゃなかったのか?


「誰かに倒されたのかも?」

「そげか。お袋、どげなかね? どっかケガしちょうか?」

「戦闘不能になってるのかな? それだったら、『死なないでェー』をかけないと気がつかないんじゃない?」

「あっ、そげだね。わがやるわ」


 アンドーくんが「死なないでェー」と叫ぶと、アンドーくんのお母さんは気かついた。

 よかった。生き返らなかったら、どうしようかと思った。


「お袋。大丈夫だ?」

「ミツルかね。ありゃ、道端だないか。なんで、こぎゃんとこにおるかいね? 頭がクラクラすうが」

「う、うん。まあ。ちょっと車に乗っとってよ。あとで家に送るけん」


 アンドーくんがお母さんを猫車に乗せる。蘭さんたちがいる空き地はもうすぐだ。今からアンドーくんの家まで戻ってられない。


 僕らはようやく、ウロウロするゾンビみたいな村人をさけて、空き地にまでたどりついた。

 そこは、すでに戦場になっていた。

 やっぱりか!

 大勢の村人ゾンビにかこまれてる!


 ワレスさんやクルウや蘭さんたちが、馬車の外に出て応戦してるけど、とにかく数が多い。

 まるで砂糖にむらがるアリの大群だ。

 たぶん、村中の住民がここに集まってる。


「ワレスさーん。ロラン。シャケ。助けに来たよー!」


 僕たちは急いで参戦するのだった。

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