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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第七部 決戦! ミルキー城 十九章 ミルキー城潜入作戦
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意外な助け



 その後もおじさんは華麗なクニャクニャステップで、僕らの攻撃をかわした。魔法は鼻ちょうちんで消しとめる。


 すごい武道の達人なのかと思えば、攻撃は大したことなかった。

 にぎりこぶしを腹に打ちこまれたものの、ぽすっとなさけない音がして、おじさんの手が赤く腫れあがっただけだ。

 おじさんの両眼から、これまたギャグマンガみたいな涙の丸い玉がたれた。


「やっぱりあやつられてるからなんだね。夢遊拳ってやつで動きはキレてるけど、力は村人のままなんだ」

「それはいいけど、どげすう? このままじゃ倒せんよ?」

「うーん……」


 これは困った。

 倒せなくても、こっちもやられる心配はない。

 でも、こうしてるあいだにも、蘭さんたちがどんなめにあわされてるか……。


 向こうにはワレスさんもいれば、クルウもいる。戦力的にはなんの問題もないと思うけど。わかんないからな。

 思いもよらない奇襲を受けてる可能性だってある。


 僕とアンドーくんは困惑ぎみに、おじさんをながめた。コンニャクみたいに変な動きで、おじさんは僕らを挑発している。

 と、そのときだ。


「こげしたらいいよ!」


 とつぜん、どこからか声がした。

 おじさんの鼻ちょうちんがパチンと音を立ててはじける。

 一瞬、おじさんの目があいた。

 そして、トスっと首のうしろに手刀を叩きこまれたおじさんは失神した。



 野生の村人を倒した。

 20の経験値を得た。20円を手に入れた。

 おじさんは宝箱を落とした。

 眠りの帽子を手に入れた。



 眠りの帽子? なんだ、それ? 強いのかな?


 説明を見ると、戦闘中、必ず睡眠状態になってしまうって書いてある。

 なんじゃこりゃ。いらないなぁ。

 あっ! そんなことより!


「誰? 助けてくれたの」


 見ると、そこには小柄な少年のような人影が立っている。

 イケノくんだ。


「大丈夫だった? 村の人やつが、なんかおかしいね」と言って、イケノくんは笑いかけてくる。


「うん。倒せなくて困ったけど、攻撃はヘナチョコだったから」

「ふうん。わの親もどっか行ってしまったけど、なんでだ?」

「……さあ、わかんないけど」


 わかんなくはない。

 まちがいなく、悪のヤドリギの仕業だ。

 ポルッカさんの屋敷であったように、ヤドリギのカケラに取り憑かれた人が村人のなかにいて、そのせいで村中の人たちが魔法にかかっているのだ。


 でも、それをイケノくんに教えていいものかどうか、僕は悩んだ。


 イケノくんはもうヤドリギにあやつられてないのかな?

 それとも、イケノくんが《《ここにいる》》から、村に魔法がかかってるのかな? イケノくんが媒体になって……?


 判断に苦しむところだ。


「かーくんとミツルは、どこに行くの? わは親を探すけど」

「えーと、仲間と合流しようと思って」

「どっちのほう?」


 僕が村の中心あたりを示すと、イケノくんはうなずいた。


「なら、いっしょに行かや」


 うーん。いっしょに行っていいのかなぁ? よくないのかなぁ?

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