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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第七部 決戦! ミルキー城 十九章 ミルキー城潜入作戦
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襲いくる村人



 目の前に現れたのは、たしかに村人だ。パジャマみたいなものを着て、頭に三角の帽子かぶったおじさん。

 目をとじてる。

 絵に描いたような鼻ちょうちんが、おじさんが呼吸するたびに、ふくらんだり、しぼんだりしてる。

 寝てるみたいだ。

 寝ながら歩いてるのか……。


 とりあえず戦闘だ。

 村人だから戦いたくはないんだけど、ヤドリギのカケラにあやつられてるんなら、とりだしてあげないといけないし。


「えっと、ちょっとずつコツンとして、殺さないように戦闘不能にしようか」

「そげだね」

「僕はさや付きのままで戦うよ」

「じゃあ、わは杖で戦う」

「それがいいね」


 短剣だとトドメが発動してしまうかもしれない。


「ぽよちゃん、聞き耳……」

「…………」


 そうだった。ぽよちゃんは寝てるんだったな。おじさんたいに寝たまま戦うことはできないのか。


 しょうがないので、前衛は僕、アンドーくん、たまりん、シルバンだ。シルバンはもともとHPや力の強い肉弾戦タイプだし、今は戦士の職業についている。バランのように“かばう”ことはできないけど、即戦力にはなる。

 ぽよちゃんとケロちゃんだけが猫車でお留守番。


 いろんな数値を爆上げした僕は、メンバーのなかで素早さもぶっちぎり。

 とうぜん、一番手は僕。


「じゃ、行くよ〜」


 かるく足ぶみして、少し素早さを上げてから、僕はおじさんの背後にまわりこむ。

 あんまり深手にならないで、ダメージをあたえる場所……。

 お尻かな?

 子どもがイタズラすると、お尻ペンペンされるよね?

 けど、おじさんのお尻をペンペンすると、僕の剣が汚れそうな気がして、イマイチやる気になれない。


 しょうがないので、ひざの裏をかるく叩いてみた。いわゆる、ひざカックンだ。おじさんはカックンとなって……見事にカックン!——


 いや、違うぞ!

 おじさんはカックンとなる寸前で、とつじょタコみたいにグニャリとひるがえった。

 えっ? えっ? なんだ、今の?

 ぐうぜんか? それとも酔拳すいけんの達人?


 テロップは語る。



 村人は夢遊拳を使った!

 かーくんの攻撃はかわされた!



 むーん。夢遊拳?

 聞いたことないけど、もしかして、夢遊病の拳法ってことかな?


「どうしよう? 攻撃をかわされるよ」

「かーくん。もしかして、魔法攻撃だないと、きかんだない?」

「うーん。そうかも」


 こういう村の状態のときは、たいてい最後にボスが出てくる。

 ボス戦のためにMPはとっときたいんだけど、そうも言ってられないようだ。こんなとこでモタモタしてたら、蘭さんたちが危ない!


「しょうがないね。魔法で行こうか」

「うん。わがやるよ? もっと燃えろ〜!」


 これで、さすがに倒せたかな?

 言ってもただの村人だし、HPだって、そんなに高くないに違いない。


 安心、安心——と思ってたのに、次の瞬間、信じられないことが起こった。

 おじさんの鼻ちょうちんが異常にふくらんだ。大きく大きく、どこまでも大きくなって、アンドーくんの炎攻撃をけちらしてしまったのだ。


 なんだ? このおじさん。

 もしかして最強村人とかなのかっ?

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