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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第七部 決戦! ミルキー城 十九章 ミルキー城潜入作戦
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詩神のハープ



 精霊王のレプリカ剣を、僕は腰の剣帯にさした。これから戦いだと思うと緊張する。


 そのせいか、なんか寒気が。

 背後から冷気が……?


「わッ! 人魂!——って、たまりんか。ごめん」


 仲間を見てビクビクしてしまう。

 たまりんのこのオバケっぽい造形、なんとかならないのかな?

 今までに何回、心臓止まりかけたことか。


 いつもなら、ヒュードロ! って怒るたまりんなのに、今日はゆらゆら、ゆれてる。ほかに気になることがあるみたいだ。


「どうしたの? たまりん?」


 たまりんは胸の前に持った銀晶石のハープを僕の目の前にかかげてみせる。


「銀晶石のハープ、けっきょく、どんなものかわかんないね。小悪魔のハープもわかんないけど」


 ハープ? あれ? 僕、ほかにもハープ持ってたような?


「あっ、詩神のハープがあったね。銀行から貰った最後のプレゼント。誰も装備できないからしまってたけど、もしかして今なら、たまりんが装備できるのかな?」


 たまりんは詩聖をマスターして、今はその上の最上級職、詩神になっている。詩神のハープは詩神かそれをマスターした人しか装備できないから、今のたまりんなら持つことができる。


「はい。たまりん」


 僕は詩神のハープを渡そうとしたけど、気づいてしまった。

 見まちがいか?

 今、やけに低い数値が見えた気がする。

 あらためてよく見ると、まちがってない! 最強のハープだと思ってたのに、詩神のハープは攻撃力がゼロなのだ。


「えっ? 何これ? 不良品なんじゃないの?」


 いや、でも、そう言えば海鳴りのハープも攻撃力はゼロだった。回復魔法のかかる武器は基本的に攻撃できない作りなのかもしれない。


「なんだ。ガッカリ」


 僕がため息をついたときだ。

 たまりんはいそいそと、自分の持っている銀晶石のハープを、僕の持つ詩神のハープに重ねてきた。たまりんが銀晶石のハープを押しこむようにすると、カタンと音がして、銀晶石のハープは詩神のハープのなかに吸収されてしまった。


「えっ? なに、何? 今、何が起こったの?」


 数値を見ると、なぜか、詩神のハープの攻撃力が20に上がってる。しかも、付属の装備品魔法が、『詩神のバラード』と『月光のセレナーデ』に増えてる。


 うーん? 銀晶石のハープのステータス確認したことなかったけど、もしかして、この『月光のセレナーデ』って、銀晶石のハープの装備品魔法?


 僕がボーっとしてると、さらにたまりんはお腹から、海鳴りのハープと小悪魔のハープもとりだして、詩神のハープに合体させた。

 攻撃力が50になってる!

 装備品魔法は『海鳴りのラプソディー』と『小悪魔のワルツ』が、また増えた!


 もうまちがいない。

 この詩神のハープって、ほかのハープと合体することで、その能力を吸収するんだ。装備品魔法も全部そのまま受け継いでいく。ハープの装備品魔法は弾き続けることによって、ターン経過で自動発動するから、一つのハープが複数の装備品魔法を得れば、それだけ発動する魔法が増加する。


 す、すごい。これなら、毎ターン、何かの魔法が発動するハープが作れるかもしれない。

 現在は一ターンめが『月光のセレナーデ』、二ターンめが『小悪魔のワルツ』、三ターンめが『海鳴りのラプソディー』で、四ターン、五ターンが何もなく、六ターンめに『詩神のバラード』となってる。


「よかったね。たまりん。またハープ見つけようね」


 ゆら〜り。


 詩神のハープは後衛援護スキルと組みあわせると、大活躍してくれるかもしれない。

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