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83 王冠式の準備

ついにこの日が来た。

―帰る日が。

でも、帰るには、王冠式をどうにか抜け出して、魔法の廊下に行かなきゃいけない。

・・・・・・ああ・・・・なんでいつもここにいるとミッションばかり求められるんだろう・・・。


私は珍しく自分から起きた。

このお城に来てそんなのなかった気がするけど・・・・・。

「おはようございます、テンヤさん」

「え?!」

い、いつの間に・・・・!

それで・・・・今日はメアイなんだ・・・・。

ガシスは私を起こすのにこりてしまったのか・・・・。

まあ、その方がいいけど。

だって、ハンマーで起こすとかすごく危なかったし。

「今日は起きてるんですね、テンヤさん」

「はい、なんか起きちゃいました・・・・」

「今日で帰れますよ。一日、頑張りましょう」

そうだ・・・・王冠式で抜け出せば、後はもう帰れることができる。

・・・やっと、元の世界に戻ることができるのだ・・・。


「準備はいいか?アマノ」

・・・・・なんでここで確認するの・・・?

だってまだ朝食だよ・・・?

「いいえ」

戻れるなんて・・・・実感がない・・・。

それになんか嫌な予感するし・・・。

「まあ、頑張ってくれ。王冠式なんてすぐ終わるからな」

そんなわけない・・・・!

だってさっきから緊張してるし・・・・。

もう朝ごはんなんてあまり喉に通らなかった。

何食べたか、忘れてるくらい。

ただ、水をたくさん飲んだことはだけはしっかり覚えている・・・。



王冠式もついに一時間後と迫ってきた。

私は今『アマノ王女の部屋』にいる。

ああ~、緊張する・・・・。

「テンヤさん、これ着てください」

フイザーがいつの間にか部屋の中に入り込んでいた。

・・・そして、フイザーはドレスを手に持っていた。

「何これ?」

「何これって・・・ドレスに決まってるじゃないですか?!」

王冠式に着るドレスには見えない。

・・・・なんというか・・・・・結婚式に着るウェディングドレスに見える。

しかも苦手なコルセット付き。

「これ着るの?」

「しょうがないじゃないですか!これを代々着て王冠式に出るのが伝統ですから」

・・・・・ゾルランの伝統を押し付けられても・・・。

それに本当はこのドレス、アマノ王女が着るものだし。

異世界の私が着ていいものなのか・・・・。

「はあ・・・もうなんで・・・・・?」

渋々ドレスを着たが、やっぱり思った通り腰あたりがきつい。

ああ・・・もうだからドレスって嫌・・・・コルセットも・・・。

「頑張ってください、テンヤさん」

「はいはい」

・・・・みんなに言われる・・・・。

まあ、ここを乗り越えれば帰れるからね・・・・。

「待ってますから、魔法の廊下で。どのタイミングでもいいですから」

「はい」

私が答えるとちょうど「コンコン」とノックの音がした。

「アマノ王女様、出番です」

ついに始まる・・・・・!







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