80 帰る手段
「テンヤさん、舞踏会行かなくていいんですか?」
・・・・あ、確かにメアイの言う通りかも・・・。
絶対怪しむよね・・・・ガシスとかチャン国王とかガリバー王子とか・・・。
・・・・・でもガリバー王子とは顔あわせたくないな・・・・なんとなく・・・。
「そういうこと言わなくていいでしょ?メアイ。だって私達と話そうと約束してたんだよ。この時を逃したらいつ私達、テンヤさんと話す時があるの?」
・・・・・フイザーがそう言うんなら結構大事なんだろうな・・・この話。
「そうね」
「それで?話は何?できるだけ話を短くしてね」
すると、フイザーはスーッと紙を私に差し出してきた。
その紙はA4ぐらいのサイズでなにやらゾル語と図がかかれている。
・・・・・ん?これ、ここの地図だ・・・!
なんで?でも貼ってある地図よりも目が全然チカチカしない!!
「それは地図よ。あ、それ裏あるから」
その地図の裏を返してみると、さらに上の階の図が出てきた。
・・・・・ここって三十階あったんだ・・・・。
初めて知ったんだけど・・・・。
「ありがとう・・・・え?なんで地図をくれたんですか?」
「決まってるでしょ?あなたの気持ちなんて行動とかで分かっちゃうんだから」
へえ・・・意外と気が使えるタイプなんだ・・・フイザーって。
ちょっと見直したかも。
「まあ、実際は水晶玉で見てたんだけどね」
メアイが補足した。
・・・・・って・・・え?
水晶玉で私の心をみるなんて・・・・プライバシーなさすぎ。
確かにフイザーは魔法使いらしいけど・・・・人としてそれはやめてほしい。
さっきの言葉、撤回だわ・・・。
「ちょっと!それは秘密でしょ?!」
フイザーが口に人差し指をあてて、メアイに言った。
もう遅いよ・・・・本人はもう聞いちゃったからね。
「それで?話はなんですか?」
「そうだった・・・・明日、王冠式があるでしょ?」
「はい」
さっき、ガシスから聞いたばかりだし、ちょっと前ではフイザーも言ってたよね。
「その時に抜け出して、テンヤさんを元の世界に戻そうと思うの」
・・・・・ああ!!
確かにフイザー、言ってたね・・・明日帰るって・・・。
「で、どうやって帰るんですか?」
「ま、ままままままままm・・・うっ!かんだっ!」
・・・・・なんでそんな緊張してるの?急に・・・・。
・・・・そんな動揺することだったの?
なのでフイザーの代わりにメアイが話した。
「魔法の廊下に魔法のゲートをもう既に作ってある。明日の王冠式でタイミングを見計らって、そこから元の世界へ戻るの」
「で、でも・・・途中でいなくなって怪しまなんですか?」
この返答を待っていたかのように、メアイは平然と答えた。
「大丈夫。アマノ王女が来るように仕向けたから」
・・・・・ん?それってもしかして・・・・
「オリレルをとらえることですか?」
そう言うと、急にメアイが驚き始めた。
「ねえ、フイザー!なんでテンヤさん、知ってんのよ!?」
・・・・隣にいるのに・・・。
そんな声張り上げなくても・・・・。
「そそそそそそっそそそんなのしししししっし知らないよおおおお」
・・・・動揺してるの、バレバレだよ・・・・。
「フイザー!テンヤさんに絶対バラシてやったよね?私、バレないようにやってって言ったよね!?」
「しししししし知らなあああああい」
「知らないって何よ!そうやって『しししし』とか動揺してるのバレバレなんだよ?」
・・・・・なんかケンカになりそう・・・・。
もう用件聞いたし・・・・私はこれにて失礼するかな・・・。
「そそそそそそそそんなわけなななななななななにやあああああん!」
私が部屋を出るころにはフイザーはなぜだか大阪弁になっていた。
・・・・・そういうだからバレちゃうんだよ・・・・。




