57 王女は大変
とりあえず、フイザーにドレス姿にしてもらった。
メアイは私がコンタクトレンズが気に入らないのを知って、(勝手に)眼鏡を取って見えるかどうかを聞いてきた。
しかし、私はとてつもなく視力が悪い。
一番近くにいたフイザーの顔がぼやけてのっぺらぼうに見えてしまったくらい。
・・・・なのでしょうがなく、嫌なコンタクトレンズを付けることになった。
私の髪型のほうは、私が強く断ったおかげでみつあみをほどかれることはまぬがれた。
・・・・みつあみをひとまとめにして頭に固定することになったが。
「これならテンヤさんって気が付かれませんよ」
メアイが満足気に私を見た。
私とフイザーとメアイは化粧部屋を出て、赤いカーペットの敷いてある廊下を話しながら歩いた。
「これからどうしましょう」
「う~ん・・・まずはアマノ王女を見つけないと・・・・・」
「アマノ・・・アマノ!!」
後ろからだんだん大きくなっている誰かの声が聞こえた。
・・後ろを振り向いてみると、私をすごくにらみながら、早歩きで前進してくるガシスだった。
こんな変なガシスは見たことがない。
うえに意外に早歩きすごく速い。
・・・ってえ?このまま私に突進しそう・・・私なんか悪いことした?
ただ、突進はしなかった。
メアイとフイザーがとっさにどけてくれたおかげで。
ガシスは、早歩きを続けながら、私の腕をガシッと掴んだ。
痛い・・・。
ガシスって本当にお年寄り?力強すぎ・・・。
ふと、後ろをちらっと向くと、メアイが目を丸くして、ガシスを見ていた。
まあ・・驚くのは分かるよ・・・私も驚いてるから。
「アマノ、どこにいたんだ」
早歩きをしながらガシスが訊いた。
「・・・・・着替えてて・・・」
「・・・・だったらよかった。あの農民の服はかっこうが悪いからな」
ガシスは言いながら、階段を下におりていった。
そして私は逃げられないようにガシスに固められている。
下をおりるにはとても勇気が必要だった。
「王女は王女らしい服装をしないとな。・・・・てっきりわしはまた、逃げてしまったのかと」
・・・・・んとそれよりガシス、どこ行く気なの?
全く分からないんだけど・・・。
ガシスと私は、『玉座の間』に着いた。
ガシスはついて早々、「疲れたー」と言いながら玉座に腰かけた。
「話が何かあるんですか?」
話があるときはいつも『玉座の間』に来ていた。
・・・・・森からお城に戻ってきたあの時は例外だけども。
「ああ、そうだ。・・・・・そろそろお前も14だな」
「いやもう14歳なんですけど」
「それはどうだっていい。・・そろそろ結婚でもさせようと思っておる」
「結婚??!」
いやいや14で結婚って・・・・。早すぎだって!!結婚に興味ないし!!
「隣の国のアラバー王国の、ガリバー王子と結婚してもらいたい」
「ガリバー王子?!」
・・・これは絶対政略結婚だよね・・・。
そもそもアラバー王国って何?ガリバー王子って誰?
・・・・とりあえずなんか嫌だなあ・・。
王女になると政略結婚とか出てくるもんな・・・アマノ王女がああなってしまったのも分かるけど・・。
「ガシス、そうは言っても私はまだ結婚したくありません」
ここははっきりと断った。
と、急にガシスが玉座のひじ掛けのところをこぶしで音を立てて叩いた。
「何を言っておる!!もう14だぞ?!もう結婚してもいい歳だぞ!!この歳に結婚しないでいつ結婚するんだ!!」
・・・・・ゾルランは結婚の歳にも若干のズレがあるみたいね・・・。
ガシスは私を見て、急に静かになった。
「・・・・コホン。すまない」
ガシスは冷静になって話を続けた。
「・・・・・ただ・・・もう『結婚してもらいたい』ではないのだがね」
「どういうこと?!」
意味が分からない・・・。
「つまり・・・・もう申し込んだんだ」
「申し込んだ?!」
・・・・ええっとつまり私はあの隣国のガリバー王子と結婚するって・・こと?!
「つまり、もう結婚することが決まったってこと・・ですか?」
「そうだ」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ~!」
・・・・・お城には私の甲高い悲鳴が響き渡っていた。




