53 ガシス・・・私はアマノ王女じゃないよ?
「え?」
なんか、違和感だった。
今日はアマノ王女にも関わらない、そしてのんびりな日になるはずだった。
「おい、起きろ」
と、覆っていた布団をガシスに引っ張られた。
うわ、・・・無断でここ入るとか・・・プライバシーどうなってんの?
ましたや、ここお城でしょ?
あと、昨日客として向かい入れた人にこんなことするとか、どうなってんの・・・?
「おい、アマノ、昨日の約束はどうした?」
約束?・・・・アマノ?
アマノって・・・・アマノ王女の方だよね?
あの・・・もしや・・<天野 姫>←これを<アマノ ヒメ>って読み間違えている方?
それか、・・・冗談?だったら笑えない・・・。
冗談にしては・・・真剣な顔・・いや、怒ってる?そ、その上、睨んでる?
はあ?どうなってるのよ、客にそういう態度って・・・嫌われるけど?
「はあ・・・・なんでアマノ・・、そんなかっこうしてるんだ」
「いや、だって帰ってきたばかりだし・・」
「おかしいだろ、王女たるものドレスじゃないといかんと、教えただろう。もう、農民ごっこはやめろ」
「いや、だからこれは、遊びじゃなくて・・・」
ん?今、王女って言った?
はあ・・・もしや、あの、アマノ王女の方・・・?
なんでよ?私をからかってるの?
「ほら、行くぞ」
ガシスは、私の腕を強引に掴んだ。
い、痛い・・・。
ガシス・・・結構な歳のくせに意外と力が強いっ・・・!
ん?これ、もしや・・。
・・・私はガシスの引っ張られるままだった。
しかし、部屋を出た時は、その力を押さえつけてなんとか、部屋のプレートを見た。
・・・・『王女アマノ』・・・。
・・・確かにゾル語で書いてあった。
そんな・・・昨日はきちんと、ガシスに隣の客間の方に案内されてたのに・・・。
・・もしや、これは夢?
私がアマノ王女になってる・・夢?
私は腕を爪でつねった。
「あうっ!痛い・・・」
うん、この時点で夢じゃないね。
それにさっきガシスの掴む手が痛いって思ったばっかりだもの。
「おい、アマノ何してるんだ行くぞ」
うわ、痛い・・。
また私はガシスに引っ張られた・・。
・・・・ドッキリにしても、ガシスの怒った顔は本物っぽいしなあ・・・・。
ええっと・・・一応ガシスの引っ張られるままに来たけど。
どこ行きたいの?
ガシスは、なぜだかグルグル私を振り回した後、ある壁の前で急に止まった。
「・・・どうなってんだ・・・本当に使えないな、ワリトは・・・」
ワリト。
なんか、どっかで聞いたことがあるような・・・。
でも遠い昔のようで全く思い出せない・・。
と、急にガシスはその壁に向かって、真っ直ぐ直進。
いや、ええ?ぶつかるって!!私にケガおわせたいの?
私はとっさになって、目をつぶった。
しかし、いつまで経っても壁の衝撃は来なかった。
え?
・・・目を開けると、なんだか懐かしいけど、一回しか見ていない風景があった。
それは・・朝食。
長いテーブルに侍従侍女などのお城の人が座っていた。
その中には、昨日途中で見失った、メアイとキトワもいた。
メアイは、前のようにゾルラン城のメイド服をきちんと着ていた。
よかった~・・・戻ってきたからまた牢屋に入ってんじゃないかと思っちゃった・・。
でも、あの問題の元・・・つまりトラブルメーカ、アマノ王女はいなかった。
「ここに座れ」
完全に家来扱い。
ガシスに睨んでから、その席に座った。




