49 ヘンゼルクリーム、チヂミリンそれから、ぺディッシュ
ちょうどその時、キトワの頼んだ、謎の「ヘンゼルクリーム」がキトワの元に到着。
キトワはアマノ王女のように喜びもせず、ストローでチュルチュル吸い始めた。
「・・・・こんな夜にヘンゼルクリーム?あんた、どうかしてるんじゃない?」
メアイがかなりキトワを見下して言う。
まあ、メアイが言うには「メアイの方が年上」らしいからね・・。
ヘンゼルクリームはパフェに使う器に入っていて、もうとにかく真っ白。
器に飛び出しているのは、クルクル円を描いて巻かれているソフトクリーム。
もう、そこにすごく目立つ赤いストローがぶっさしてある。
・・・・・・これ、上から下までクリームでは?
まあ、メアイがああいうのもしょうがないかも。
っていうか、ここゾルランにパフェの器があったんだ。
本当、中途半端・・・。
いまだに「ヘンゼル」の意味が理解できてないけど・・・。
そこからしばらくみんななぜか黙ってた。
なんで?私がいるから?いや、ふき終わった後も話してたし。
それか、アマノ王女の「嫌」の言葉?いや、それとも、メアイの「どうかしてる」の言葉?
もう、私はやることがなかった。
言うこともないし。
それに暇つぶしに水飲んでも、ゾルランの水のまずさと、みんなの冷たい視線を感じるだけ。
ああ・・・もうっ!!
「おまたせーチヂミリンだよー」
だから、リディアの声を聞いたときは半分嬉しかった。
もう半分は、この暗い空気でとても明るい声で言われて、イラついていたけど。
「チヂミリン?そんな、マズいもの、テンヤさん食べられるんですか?」
・・・・そんなこと、言わないでよ・・・。
もっと暗くなるのに・・・・。
私はメアイの言葉に耳を傾けず、いびつな形のスプーンをとって、食べた。
相変わらずの味。
でも、これしか知らないから。
と、いうか他の物に手を出したら、・・・・なんか起きそうで怖いから・・。
だって、私は異世界の人なんだから、異世界で何が起きてもおかしくない。
そして、それをきっかけに帰れなくなったら・・・・もうたまらない・・・。
そして、その沈黙を破ったのは、ガシスだった。
「メアイ、今度はお前が聞かせてくれないか?」
そりゃあ、そうだ。この状態でアマノ王女に訊いたら、絶対「嫌っ!!!」って言うに決まってる。
「はい、もちろんですよ」
メアイはいきさつを丁寧に話し始めた。
私は、森の中でこの話を一回聞いたので、聞き流した。
それよりもメアイの話はあまりにも丁寧すぎた。
ゆっくり話しすぎだ。
実際、途中でメアイの頼んだ「ぺディッシュ」が運ばれてきたし。
見た感じ、私たちの中で一番の高級ぽかった。
後日聞いた話だけど、リディアいわく、「ぺディッシュ」はリャマの肉をソースで煮込んだ料理だそうだ。
贅沢・・・・・。
う~ん・・・メアイは味にうるさそうだな・・・。
「そういうことか、メアイ」
この言葉を言ったのはキトワ。
そのついでに、「ヘンゼルクリーム」を吸い上げる。
もう、チュルチュル、うるさい!!
多分、一番食べるのに音を立てているのはキトワ。
「話は以上です」
そうなると、みんなアマノ王女を一斉に見た。
「・・・何よ・・・?!」
「「「いや別に」」」




