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33 【メアイの生活 その2】

王様の玉座から、真っ直ぐ行くと、通路がありそこを抜けると、大きな階段になっている。


通常、そこから下へ行ったり上へ上るものである。

しかし、ガシス王はそこから反対の玉座の後ろ側に回った。

実は、この後ろにも階段がある。

くるくると円を描いたように降りたり上ったりできる。

しかし、この階段は牢屋から玉座までしか行けない。他の階のドアが途中でないのだ。

だから、この階段を使うのは、玉座から牢屋、牢屋から玉座の時だ。

ガシス王は、この階段が急なのと、自分が引きずりながら階段を降りれるくらいの歳ではないので、ここからは、城のしっかりと大きな体格をした護衛二人にメアイを持っていくことにしたのだ。

メアイは、自分よりも大きな護衛に宙に浮きながら運ばれるのはいい気分ではなかった。


やがて、階段が終わり、その代わり、目の前には頑丈そうなドアが出てきた。

ガシス王は、そのドアの南京錠に鍵を差し込み、ドアを開けた。

「いたあっ」

護衛は開いた瞬間にメアイを放り投げた。

本当に扱いが乱暴である。

「ギギギ・・・・」

あっという間に、ガシス王に牢屋の鍵を閉じられ、牢屋に閉じ込められた。

「はあ・・・これからどーしよ」

ここで、「ねえ!だれか助けてっ!」と必死に叫んでも助からないのは分かっていた。

ここで、なんかやっていても、ただキトワがあざ笑うだけ。

(・・・・年下のくせに・・・。)

つまり、ここで座っているだけでは解決しない。

(牢屋を脱出・・・。)


脱出するにはまず逃げ場がないといけない。

もちろん、牢屋のドアは鍵がかかっていて行けるわけがない。

この牢屋の中には、食べ物をもらう小さな穴と、真上についている窓のみ。

小さな穴ならなんとか行けそうな気もするが、ただ自分が入らない。

逃げ道は真上の窓しかないのだ。

しかし、足をかけるレンガも、はしごもない。どうやって、あそこまで行くのか・・。

「ふんっ!!」

天井に向かって飛びはねてみるが、ここで手が届くわけがない。

「はあ・・・・」

メアイは悔しそうに髪をかきむしった。

(どうやったら、あの窓に行けるのよっ!!)

無意識にも、メアイは怒りで壁に八つ当たりをした。

しかし、思ったほど壁は頑丈ではなく、案外大きな穴ができた。

「へ?」

これにはさすがにメアイはびっくりしている。

牢屋は、一人一人個別に入っており、その部屋をつなぐのがとてももろいこの壁だった。


当然、ここに穴が開けば、お隣の人が、見える。

「あんさん、誰だい?」

早速、開いた穴でお隣さんが、顔を出してきた。

その人は、髪と、口周りのひげが白く、そして、ひげは変な形に整っている。

髪は、襟足まで残し、目はしらすのように細い人だった。

「そっちこそ誰?」

メアイはわざとツンツンした態度で訊いた。

「わしは、レヴィだよ。かわいい子とイチャイチャしていたら、掴まった」

(女好きだ・・・気持ち悪い・・)

「へえ」

メアイはこんな人と、自己紹介なんてしたくなかったので、自分はすっ飛ばして訊いた。

「この天井の窓以外に出口ってないかい?」

「ないよ」

(・・・・・やっぱ、出られないのかな・・)

「でもなぜか、ここに縄があるんだがね」

「・・・・もらってもいいかい?」

「どうぞ」

メアイは壁をさらに裂き、穴を大きくして、レヴィの部屋へ入った。

確かに、かなり隅っこに長いしかもかなり太い縄があった。

(これなら、すぐ切れる心配はなさそう)

すっかり安心して、縄をいただいたメアイだが、これをどうやって天井の窓にかけて脱出するか、まるで浮かばなかった。

(どうしよう・・・・)

「おい、護衛が来たぞ。みんな外に出ろ。持ち物チェックだ」


一番牢屋のドアに近いとらわれ者が言った。

すると、目の前の牢の檻がしゅっと、手前から後ろへと開いた。

「おい、開いたぞ。早く出てこい、新人」

これを言ったのは、囚われ者ではなかった。

中に入った、護衛だった。メアイは、入口に近いだけに目を付けられやすい場所にいたのであった。

そして、メアイはうっかり縄を持ったまま、出てきてしまった。

もちろん、護衛は手前に近い方から、見ていくものだから、早速牢の中に放り込む間もなく、見つけられてしまった。

「これは、なんだね?」

「いや、これは物体です」

「それは、分かっている」

「これは物です」

「・・・それも分かっている。わしをバカにしてるのか?」

護衛は少し怒り気味で言った。

メアイは言葉が浮かばないので、とりあえず、放り込もうと、手を後ろに回そうとすると、護衛が素早く反応し、その手を止めた。

「この縄は没収だ。永遠にな!」

あっという間にメアイの手の中にあった、希望のありがたい縄はたった一人の護衛の手によって、永遠に没収となってしまった。

(じゃあ、どうやって逃げればいいのよ!今日は運が悪いわね・・・!)


護衛は、クスクス笑っている囚われ者の持ち物をどんどん没収していった。




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