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10 【城内の様子】爪切り

この話では王様、侍従のキトワが出てきます。主人公は出てきません。

爪切りで繰り広げられる、会話をお楽しみください。

あれから。

ガシスは、何もなかったかのようにキトワを呼んだ。

「なんですか?王様。」

「爪を切ってほしいのだ。」

ガシスはいつの間にか裸足にした足を指さした。

「はああああ」

キトワは嫌そうにため息をついた。

「なんだ、なんか文句あるか?」

「いいえ」

キトワはピエロのような服のポケットから爪切りを出した。

「しかし、自分で切ってください。」

「それは文句だ。」

ガシスは指の爪を切ろうとしゃがんだキトワを指さした。

キトワは不満そうな顔を浮かべた。

「なんだ、キトワ。爪を切ればいいじゃないか。」

「はああああ、そうですか。しかし、爪を切るぐらい、自分でできるじゃないですか?」

キトワはそれでも爪を切らない。

「そうか?あんたは侍従じゃないか。命令されたことをきちんとやるっ!!」

ガシスはペチンと自分の足の甲を叩いた。

キトワは足にかなり近づいていたので、ぴっくと反応した上、この上なく不機嫌な顔をした。

「どうした、キトワ。笑顔が足りんぞ、笑顔!」

「はあああ、そうですか」

しょうがなく、キトワはガシスの爪を切り始めた。


「王様。」

「なんだ」

ガシスは感情のこもっていない声で言った。

「アマノ王女様が、『アマノ王女は逃亡している』と言っていたとは本当ですか?」

「誰が言っていたっ?!」

ガシスは瞬時にキトワの方に出向き、またキトワを不機嫌にさせた。

「ガシス様、動かないでくださいっ!!」

その上、キトワは怒りのあまり、「王様」ではなく「ガシス様」と呼んでしまった。

しかし、ガシスはキトワの話に気を取られ、気が付いていない・・・・「動かないで」と言われたことも。

「はああ、なんでそんなに動揺するんですか?なにかアマノ王女との朝の話でまずいこと言ったんですか?」

「・・・・・・・ちがう。」

キトワ(これ絶対、まずいこと言ったよな。間があった。)

「それより!誰に聞いたんだ!!?」

またガシスは自分の足の甲を叩いた。王様というのは叩くのが好きだとはキトワは知っていたが、それでも

不機嫌そうな顔を浮かべた。しかも、もうすこしでその怒りは爆発寸前である。

「メアイです。何ですか?いきなり叩いたりして。」

「メアイかっ!!」

キトワ(同じこと繰り返さなくても俺、分かってるんだけど。)

ガシス(あのメアイ・・・!入る前から予感はしていた。どこかの童話のように首を切らなくては・・!)

「王様、全て声に出ています。」

ガシスは思っていることを声に出していたのだった。

「あっ・・・・!」

「その前にそんなファンタジー、どこかに捨ててきてください。そんなことできるような、予算この国には

 ありませんから。」

キトワは真顔で立ってガシスに向き合った。

と・・・いうかガシスが動いてばかりでしゃがむのが嫌になり、真顔なのは怒りを必死にこらえているから

である。

「予算はないはどうたらこうたらはよしとして、メアイをなんとか処分・・・排除しなければ・・・」

ガシスはしわくちゃの手を小さく鳴らした。

キトワ(怖い・・・・しかしこの人に怒っている。)

「そうですか。メアイは処分すればいいじゃないですか?」

「ほう、賛成してくれるのか。キトワはやっぱりいい侍従だー、」

「あの、まだあるんですが。」

キトワはわざとガシスの前に手を上下に振った。

「処分するんなら、もう金輪際王様の爪を切りません」

「なぜだ。」

ガシスは不満、とも疑問、とも言える顔をキトワに向けた。

「動かないで、と言っても動くんですから。それに爪切りぐらい、自分でやってください。」

「待て、キトワ!」

キトワは自分を呼ぶ声を、無視して去ってった。

キトワ(本当、俺がいないと生きていけない人・・・・。)


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