Ep2-10 殺害計画と干物の朝
すごく遅くなってしまいましたが今年もよろしくお願いします。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ」
チュンチュン
鳥のさえずりだろうか?前世界と変わらず同じように聞こえる声に耳を澄ませる。その声は鈴の音のように響き渡り、新しい朝が来たことを祝福するかのようであった。
と、思っていたこともありました。
俺が持っている魂源の中に真言という能力がある。これが少々曲者なのだ。
能力としては、いわゆる「翻訳能力」。あらゆる言語を、理解して―――――そしてどうも俺自身も話すことができるかもしれない。かもしれない、とつけたのはまだ確定していないからだ。今日で生後3日になるが、出会ったのが鮪と蛸(なぜか海生生物ばかり)。ニアミスしたのが烏賊と・・・・・話ができても話したくない漆黒の狼。
能力の試しようがない。
「・・・・・・ヶ・・・・・・・・・・・・・・」
この能力自身もラノベのようにすぐに会話が理解できる、というようなことではないようだ。ラノベでよくあるのが、スキルがあればあら不思議、何か国語も一瞬でペラペラよ~的な能力だったら楽だ、と思う人もいるかもしれない。しかし、残念ながらこの能力はそこまで便利ではないようだ。
まず必要条件として、ある程度は相手の言葉を聞き続けていく必要がある。その言葉に含まれる単語、文法を蓄積していく。そして、ある程度の「ピース」がそろってくると相手の言っていることがだんだんわかってくる、そういうものらしい。
ぶっちゃけていうと、長期間外国で暮らしていたら何となく現地の言葉がわかるようになっちゃった、というものを強化しただけの能力ともいえる。
「耳に入る言葉であれば意識、無意識を問わない」点は融通が利くようだ。耳に入ってしまえば経験が蓄積されていく。睡眠学習かっ!!と突っ込みたい。
当然ながら、その種族が言語を操れなければ理解できない。遭遇した陸鮪がいい例だ。まあ、あの鮪がINT 1だったから、という可能性も捨てきれないが。
森の中にいると、意外に鳥の声を耳にする。まあ、今まで森の中で長時間過ごす、という事自体がなかったので基準がいまいちではあるが。生後1日目は夜だったので、生後3日とはいえ賞味1日程度だろうが、森の中には思った以上に鳥の声が響き渡っていた。
何が言いたいのかというと、一番よく耳にする「鳥の言語」がある程度、理解できてしまったという事。「全て」のではない。恐らくここ一帯を縄張りとしているか、ここ一帯のどこかに巣を作っている鳥だろう。己の存在を主張するかのように鳴きまくっている。襲われる心配はないのだろうか?
「・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・・」
早くもその鳥の操る言語が理解できてしまったため、すこし耳を澄ます―――――声に集中する―――――と途端にただの鳴き声が言葉へと変換される。
ある意味、不幸の始まりでもある。
「最近、旦那の獲物の量が減って、マジ激おこー」
「やだ、奥さんの所も!?うちの旦那もなのよー。そろそろ※※※時かしらー」
「※※も超メンドー。あいつ、どこまでも追ってきてキモッ」
「あらあら、お宅も?うちも何時もいつも付きまとわれて自由がないのよねー。ちょっとよその雄と喋るだけで機嫌悪くなるし」
「マジでー(笑)」
「あの人、図体だけは大きいから・・・・今度、※※※※のテリトリーあたりにでも行ってみようかしら?うまくいけば、あの人が※※て合理的に「※※※」事ができるかもしれないわ」
「(爆笑)それサイヨー」
「それか、もういっそのこと※※※※を※※※※して※※※※※」
・・・・・・・・・・・・・・
旦那に合掌。
ピンッと澄んだ空気の気持ちい朝、囀る鳥たちは殺害計画を練っていました。
ピーピー言ってる部位は伏せているわけではなく、まだ理解できないだけで。
きっと明日から気持ちよく目覚めることはない。
「・ミ・・・・・・・・・・・・・・」
昨日の夜に関しても、実はある程度の言葉がわかるようになってきている。
なにせ方々から獣が1か所に集い争っているのだから、当然中には唸り声を上げるだけではなく恫喝している獣も混じっていた。
・・・・・まあ、そのうちヤク〇か、ってくらいに「ごらぁああ」とか「ぃわすぞっ!!われぇえええっ!!!」とかいう声が聞こえて来るんだと思う。
「没ファンタジー」なんて言葉が頭をよぎる。
もしくは「くたばれファンタジー」
「ボゥ・・・・・・・・・ズ・・・・・・・・・・・・」
寝起きに全容が理解できない殺人(鳥?)計画が聞こえてきたため、空が少し白んできたくらいには目が覚めてしまった。
因みに、いまだにシラユキは横でぐっすりと眠っている。厳しい野生に直面した時に、この妹がどう変貌するかと考えると悲しい。そんな未来はノーサンキューである。
正直、鳥たちの会話がつらくて意識を手放したい。だんだんヒートアップしてきた後に道がそれたのか、お互いの旦那を番いにしようなんて話まで出てきている。ここまで侵食しているのか「腐の遺産」!!
こんなことなら、気持ちの良い(と思いたい)朝だから少し外で(げんじつを忘れたい、もしくは気分転換に)軽く運動しよう、なんて考えなければよかった。
木の洞から出てみると、情報にちらちらと見えるひものような物体。極力気にしないように我慢していたがそこが限界であった。ふと視界を上方に移すと。目の前の木の枝に。
烏賊の干物ができていた。
「・・・・・・ヶテ・・・ガ・・・・」
ふと現実逃避をしたくなる。
起床後から、ずっと聞こえていた殺人計画の合間合間に聞こえていた掠れた声。
恐らく一晩中、声を上げていたのだろう。
その成果か、一度そちらに意識を向けるとしっかりと意味を成してくる。
「ダレカ、タスケテ、オネガイシマス・・・・・」
烏賊の干物に助けを求められる朝。
・・・・・・・シュールすぎる。
それからどのくらいの時間、烏賊を眺めていただろうか?
FSE(五感)が上がっているせいだろうか?烏賊の視線を感じる。
きっとそのうち恋に落ちるのかもしれない。
馬鹿なことを考えながら今日もまた始まる。
超不定期掲載ですね。
遅くなったうえに超短くなっております。本当はもっと書いてから投稿しようと思ったのですが、前回からずいぶんと空いてしまったので書き上げた部分を投稿させてください。きっと次のお話とつなぐことになると思いますが(汗)
なるべく早めに続きを書いて登校したいのですが・・・・・・投稿日未定です(汗)




