女子大学へ
路地裏でカメラを操作して、あの女性に変身した俺は少し今の自分の姿を、ビルのガラスで確かめた。
サラサラしてる髪はショートカットで、丸い帽子をかぶっている。
顔は少し化粧しており、少し眉とか口とかに違和感がある。
服装はGジャンの下に、白いブラウスを着ており、下はショートパンツとストッキングを組み合わせたコーディネートだ。靴は黒いスニーカーで先ほどのハイヒールよりは、格段に歩きやすい。
そしてスタイル……普通としか言えない。ブラをつけているようだが、別に大きくとも小さくともとれない。腰回りの細さも適度についており、普通としか言えないのだ。
「ま、さっきよりは動きやすいし、別にいいか。さて名前は……っと」
肩にかけてあったバックから、学生証を取り出す。名前の欄には……
「坂本美鈴……ちゃん。大学2年生か。ふふ、俺は女子大の生徒、坂本美鈴ちゃんなんだ。」
気分がよくなった俺は、微笑みながら警戒もされずに女子大に入っていったのだった。
「ふーん、見た目も広そうだったけど、やっぱり広いな」
俺は食堂のテラスに座って休憩をしていた。
適当に歩いていたが、校舎も外も広く疲れてしまったためだ。
それでも可愛い子は多く、何人も見つかったが、誰もが何人かのグループで歩いており、一人に絞ることはできなかった。思い切ってグループ全員を隙を見て撮ったが、真っ黒な写真が出てきて、やはり一人のときしか無理なようだ。
「うーん、これからどうしようかな……」
もう一度、歩いて探そうかな、と思ったときに誰かが話しかけてきた。
「あれ? 鈴じゃん。さっき帰ったんじゃないの?」
「え?」
見上げると知らない女性が立っていた。
鈴って言っていたから、多分、本物の美鈴の友達だろう。
「え、あ、その……」
「あ、もしかして忘れ物?」
「う、うん。そんな感じ……」
やばいな。と思う。
ずっと話していけば、いつもと違うことがバレてしまい怪しまれてしまう。なんとか誤魔化す方法は無いものか……
「ま、いいけどね。私はこれから授業だし」
「そ、そうなんだ」
よし! 俺にボロが出る前にどこかへ行ってしまえ!
と言う思いを発するが、俺の思いは消えてしまう。
「遥ちゃーん。待ってよー」
「ん? ああ、ひかり」
(またかよ! くそ……早くこの子もどっかに……)
と思いながら、ひかりと呼ばれた子の姿を見た。
その姿を見た俺は心の中でニヤリと笑ってしまった。
なぜならその子は俺のタイプで、俺がもっともなりたい理想の女の子だったからだ。
「あ、美鈴ちゃんもいたんだ」
「ま、まあね」
俺に対して笑いかけながら話すひかり。
ドキドキしながらもひかりをよく見た。
髪型はウェーブがかかっており、肩よりも少し長い髪だ。
服はピンクのワンピースで、靴は可愛いサンダルを身に付けているようだ。
「あっ! ひかりちゃん。私達そろそろ行かなきゃ!」
「もうそんな時間なんだ。それじゃあ、またね美鈴ちゃん」
「う、うん、またね」
手を軽く振りながら、二人を見送る。
ふう、どうやら時間のおかげで助かったようだ……っと、忘れない内にひかりを撮っておくか。
「よしよし、うまく撮れたぞ」
写真を見ると、完璧に撮れていた。
俺はこれ以上美鈴の知り合いに出会うとめんどくさいため、素早く食堂から移動した。