ファミレスへ
「ふへぇ……気持ちよかった」
俺は脱ぎ捨てていた服を再び着ていた。
え? 色々と飛んだ? 当たり前だろ。これ以上言ったら18禁になるわ!
誰に言い訳してるか分からないが、申し訳ない。
スーツは脱いだ状態で、ワイシャツとタイトスカート、ストッキングを履いた状態でのんびりしてたら、時計が目に入った。
「あー、もう昼か」
12時ちょい前だが、昼の時間だ。
いつもの俺ならスルーしてハロワに向かっていたが、今日の俺はカメラのせいで行く気が無くなっていた。
むしろもっともっと遊びたかったのだ。
「お昼にしようと思うが、本当にこの金を使っていいものか」
さっき投げ捨てた2万3千円を、再び拾いなおした。そしてじっくりの観察しつつ考える。
「うーん……完全なるコピーだから使えることには使えるだろうな。番号なんて誰も気にしないし……まあいいか! 使おう!」
使うことを決意した俺は、お金を財布の中に入れた。そしてそのままカメラを取り出して元に戻ろうとした。
「って、元に戻ったら財布とかが消えちまうよな。このままで行こうっと」
スーツを着て、財布をハンドバックの中に入れる。そしてもう一度鏡の前で身なりを整え、玄関でハイヒールを履いた。他に女の靴なんてないし、この服にはこのハイヒールしかないから我慢するしかない。
扉を開けて近くのファミレスへ向かっていった。
「な、なんだか緊張するな」
それもそのはず、俺は女性として、さらには女性物のスーツを身に付けて道路を歩いているからだ。
履き慣れないスカートに、歩く度にコツコツとなるハイヒール。
いつも以上に緊張して、転ばないように慎重に歩いたため、ファミレスまで時間がかかってしまった。
「いらっしゃいませ! お客様は一名ですか?」
「ええ」
「では、こちらへどうぞ」
通された席に座った。ふぅ、ようやく落ち着ける。
ぐたりと背もたれに持たれて、リラックスする。
「ふー、女ってのは意外と疲れるな……慣れていないだけかもしれないけど。でもまあ、気分はいいぞ」
呟きながら、ニヤリと笑ってしまう俺。
さて、いい加減注文しなければ、と思い、メニューを見るため体制を整えるとと、目の前の男が俺を凝視していた。特に下半身を見ている。
リラックスしていたため、俺の足はだらしなく開いていた。男のときは問題は無いが、今の俺はスカートを履いた女。誰が見てもだらしなく思うだろう。
(ふーん、なるほど。あいつ美人の女性が股を開いてるなんて、覗けるチャンスだもんな。俺も当然見る。でもな……時間切れだ)
俺はゆっくりと開いていた足を戻す。そのまま、男の顔を見ていた。
男は股が閉じられると、舌打ちをしたのか、残念そうに俺の顔を見た。そして目があう。
「っ!?」
目があった瞬間、男は凄い勢いでそっぽを向いた。
(へへ、これは面白い。あいつの反応がこんなに面白いとは思わなかったぜ。)
少し女の気持ち? が、分かった俺は、再びメニューを見て選ぶことにした。