不思議なカメラ使い方:その2
な、なんか足がスースーするような気がする。それに胸が締め付けられてるような……
俺はおそるおそる目を開けた
「な、なに!?」
見下げると俺はさっきの女性みたいな格好をしていた。
黒いスーツに中にワイシャツを着ており、谷間が見える。本物か確かめるため触ると……
「や、柔らかい……」
久しぶりに触る感触。これは間違いなく女の胸だ。
さらに視線を下げると、タイトスカートに黒いストッキング、そしてハイヒールを履いていた。
足元がおぼつかない……あ、股間に触ってもアレが無い!
「本当に女になったんだ……って声もか」
「女になっただけじゃないわい」
「ふへっ!」
おばあさんが鏡を見せると、さっき写真を撮った女性が驚いた表情で写っている。
自分が思ったように表情が作れる……
「すげえ……すげえよ! おばあさん!」
「ふぇふぇふぇ! どうじゃこのカメラ。欲しくなったじゃろ?」
「もちろん! ってわわわ!」
うう……ハイヒールは歩きにくいな。少しバランスが崩れたら転んじゃいそうだ。
「そうそう、青いボタンは解除ボタンじゃ。押せば元に戻るぞい」
「青いボタン?」
青いボタンを押すと、靴がスニーカーに戻るだけでは無く、自分の太ってる姿に戻ってしまった。
そして下からさっきの女性の写真が出てきた。
「またこの写真を使えば、この女性にまたなれるんだ」
「そうじゃ。便利なカメラじゃろ?」
「凄いカメラだよ。本当にこれ貰っていいのか?」
「最初に言ったはずじゃ。貧乏人に金を集るほどワシは飢えては無いとな」
言ってねえ! さっきより酷くなってるわ!
う、ツッコミたいが我慢だ。ツッコミ入れたら敗けだ。
「あ、この黒いボタンは何?」
「……」
黒いボタンのことを聞いたらおばあさんは難しい顔をしてしまった。
「うーん、お主ならいいか」
「え?」
「黄色のボタンを押し、変身して黒いボタンを押すことにより、変身した人物の記憶を手に入れることができる」
「え……ええ!!」
凄すぎるカメラだ……もう科学と言うより呪いだ。呪いのカメラだ。
「ただし」
一旦間を作るおばあさん。唾を飲み込んで次の言葉を待つ。
「運が良ければ自我を保ったまま記憶を手に入れることができるが、運が悪ければ……」
「……自我を失うのか」
おばあさんはコクリと頷く。
やはり呪いのカメラだよ……
「それでもお主はそのカメラを貰ってくれるか?」
「貰うよ。だって貧乏人だからね」
「……ふん。小僧め」
鼻で笑われたが、嫌な気はしない。
「じゃあ、ありがとうおばあさん。また会おうな」
「ああ、そうじゃな。くれぐれも黒いボタンには注意じゃよ。二回も押したら100%自我が失うからな」
「ああ、気を付けるよ」
そして俺は誰を撮るべき考えつつアパートへ帰ったのだ。






