1話 心の声が聞こえてます
初めまして、私の名前は鈴宮唯です。今年から高校一年生!一学期が半分終わり、仲の良い友だちもできました。
そして今、私の胃は爆発寸前です。
『おい人間。本当にやってくれたな』
「はい申し訳ありませでした。申し訳ありませんでした!この通りですから許して下さい!」
『土下座程度で祠は直らぬわ!』
昼の私を怒鳴りたい。なんで祠を壊しちゃったのか。
今日の日曜日の昼頃。その日は両親と一緒に山道を歩いてた。けど、けど、けど!足を踏み外して滑って落ちて転がって。その最後の最後に祠があるなんて思わないよ!人が誰も寄り付かないような鬱蒼とした森にあった小さな祠。私に壊そうとした意思なんて無い。だって落ち滑り続けた先に祠があるなんて普通は思わない。
あの後、山の管理人にも、猟師にも、両親の山道歩き仲間にも、だーれも知らなかった。しかも放置するのもどうかと言う理由で、落ちた私を助けに来た人が壊れた祠が完全に回収しちゃった。しかも祠の残骸は行政が処分しちゃった。
しかも、あの中に神さまがいるなんて誰も思わないよぉ……
『聞いているのか人間』
「ハイ、キイテオリマスカミサマ」
『その早口からは敬意を感じぬな。それに我が名はカミサマではない。キコエ様と呼べ』
圧迫感が凄いなぁ。しかも祠を壊した私に取り憑いているんだから、どっちかっていうと、あくりょ――
『悪霊ではない!あの低俗な存在と一緒にするな!』
「ふぇ?!」
き、聞こえるの?!心の声を?!え?!マジで神さま?
『どれだけ疑うのだ貴様!』
私のベットの上で腕を組みふんぞり返ってる存在に視線を移してみる。10歳くらいの浴衣の子供?かな。
『浴衣ではない着物だ。間違えるな現代人間』
「めんど……」
『ついに心の中に零すことも無くなったな』
朝日が空を照らし、いつもな教室に仲の良いクラスメイト達。ホームルーム前だからか、駆け足で教室に入る数人が息を切らして席に座り、仲の良い人同士で挨拶を交わし合う。そんないつもの最高な……
『そんな詩的に心象を語らう人間だったか?』
最高なはずだったんだけど……こいつ脳内に直接っ!なせいで現実逃避がかき乱されるし、私以外に見えないから下手に受け応えすると私が独り言をしているみたいになる。つまり私は詰んでいる。
そしてそんな感じに現実逃避しないと……
(あの子可愛いなぁ)
(ふーふふん♪ふーふふん♪ふふふーふん♪)
(突如としてテロリストが学校を占拠。学校の皆が人質に。やれやれ。この俺の出番。ですか)
(羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が……)
うるせぇ!!
人の心が聞こえる神が私に取り憑いているからか人の声が無作為に聞こえ過ぎる。朝に両親の心の声が聞こえて噴き出す寸前だったし。
人の心が聞こえるなんてデメリットが多いしもう要らない!
「あっ唯ちゃんおはよー」
「あぁ、おはよ……」
女友達の一人が挨拶をしてくれた。心の声がうるさいとは言え、挨拶は返さないと。
「おや?今日は元気がないね。風邪でも引いたのかい?」
こんな普通じゃない私の様子を気遣ってか、男友達が心配そうに声を掛けてくれた。気遣ってくれるのは嬉しいけど、ぶっちゃけそんな場合じゃ――
(私が男なことは絶対にバレないようにしないと……)
(僕が女なことは皆に絶対に知られないようにしなきゃ……)
「……プごふっ!?!」




