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魔剣と悪魔

「ふむ、先程の魔法は驚異であったが、剣の腕はそこまででもないのであるな」


 レクシアは両腕を剣へと変化させ猛攻を仕掛けるが、コラールはレクシアの技量を探ってそんな感想を言うだけの余裕があった。

 間合いはレクシアの剣の方が有利であるはずなのに、攻撃のことごとくが槍の柄によって払われる。


「この! 雷槌!」


 レクシアは左腕を元に戻しながら1歩下がり、雷の槌を握って地面へと叩きつける。

 叩きつけられた雷の槌からは電撃が扇状に広がっていき、回避は困難だろう。


「ふはは、無駄なことを!」

「まだだよ。土塊」


 回避が困難、とは地上にいればの話しだ。

 コラールのように、風の魔法を使えるならば空へと逃げてしまえばいい。

 だが、それを予想していたレクシアは片目を茶色へと変え、追撃に移る。


「土人形」


 集められた土の塊が変化して出来たのは、巨大なゴーレム。

 全長5mはある巨体の拳が、コラールへと迫る。


「そんなもの、我に通じるわけがなかろう!」


 コラールは巨大な拳を目の前にしても微塵も慌てることなく、身に纏っている風の1部をその拳へとぶつける。

 それだけで拳にはヒビが入り、そこからゴーレムの全身が砕け散っていく。


「……脆すぎるな。狙いは他であるな?」


 コラールがあまりの手応えのなさにゴーレムの向こうにいるであろうレクシアを見ようとしたが、そこにレクシアの姿はなかった。


「正解だけど、手遅れだよ!」


 声はコラールの頭の上から聞こえた。

 ゴーレムをコラールの目くらましに使ったレクシアは、自身の足元の地面を隆起させてコラールの頭上を取っていた。

 その振り上げられた腕には、バチバチッと音を立てる雷を纏っている。


「轟け、雷撃!」

「ほう……」


 レクシアがその腕を振り下ろすと、雷鳴と共に雷がコラールを襲う。


「はぁ……はぁ……」


 着地して荒い呼吸を繰り返すレクシアの視線は、コラールが居た場所から離れない。


「最初の威勢はどこへ行ったのであるか?」

「傷一つも……」


 元から今の攻撃で倒せるとは思っていなかった。

 だが、まさか無傷で耐えるとは思っておらず、レクシアは目を見張る。


 今のレクシアは2種類の神の力を自在に使うことが出来る。

 神の力を行使した攻撃はかなりの火力は持っているはずだ。

 それを簡単に防ぐなど……


「貴様が何を考えているかは知らんが、我は悪魔でな。神の力などというものは効かぬ」

「でも最初のは避けたよね。ってことは」

「もう使えないであろう?」


 図星をつかれ、レクシアは奥歯を噛み締める。

 コラールへの最初の攻撃……神罰と称したあの技は奥の手だ。

 何度も使えるものではなく、激昂したせいで使い所を間違えた。


「やはりそうであろう。となれば、もう怖くはない」

「そんなの、やってみないとわからないよ!」


 レクシアの両目が青く染まる。


「それを黙って見ているほど、我はお人好しではないのでな」

「うっ!」


 2度目以降の神罰の使用にはタメが必要になる。

 そこを見逃すコラールではなく、一瞬でレクシアへと接近すると、連続で突きを繰り出す。

 どうにか防ぐレクシアだが、神罰の使用は中断された上に、間合いを詰めることが出来ない。


 実力差は歴然としており、やがて押され始め、防いだ剣ごと後ろへと飛ばされる。


「わからぬな。貴様は神殺しと呼ばれる魔剣であろう? なぜあの女神もどきに協力する」


 コラールは文献をいくつか漁り、レクシアが神殺しであるということを調べていた。


「どちらかと言えば神に仇なす、我のような悪魔と同類であろう。今からでも我の所有物になるというのであれば、壊すのはやめてやるが?」

「あなたと同類? 所有物? 笑わせないでよ」


 ボロボロになりながらも、元に戻った両手で体を支え起き上がる。


「私はハラルちゃんの友達なんだから! あなたと一緒にしないで!」

「ふ、ふはははは! 神殺しの名を持つ剣が笑わせる。感情など持って、人間の真似事か」

「真似事なんかじゃない! この感情は……私は、本物だから!」


 立ち上がったレクシアはそう叫び、雷で作った短剣をコラールへと投擲する。

 それは、コラールには攻撃と言うにはあまりにも弱々しいものだった。


「それが貴様の答えか。神殺し……少し残念であるが、仕方ない。ではできるだけ残酷に、無惨に壊すとするのである」


 雷の短剣はコラールの纏った風によってあらぬ方向へ吹き飛ばされる。

 そしてコラールは、それをレクシアの答えと受け取り、笑いながら歩みを進める。


「私の名前は、レクシアだよ!」


 せめて最後の最後まで抵抗しようと決意したレクシアの視線は、コラール……ではなく、その後ろを見ていた。


「む? 何を見てっ!?」


 キュイィィィンッ!

 と、鉄製の武器では絶対に立たない音を響かせ、レクシアが先程投擲した雷の短剣がコラールの纏う風に激突する。

 コラールの眼前にまで迫った短剣は、どうにか当たることなく後方へと弾き飛ばされた。


「何者……がっ!?」


 短剣が飛んできた方向へ振り向いたコラールの顔面へ、拳が叩き込まれる。

 相当な威力だったのか、コラールは後ろへ10mは吹き飛ばされた。


「よく言いましたね、レクシア。それでこそ私の友達ですよ」

「あ、あ……」

「なんですか、そんな泣きそうな顔をして」


 輝くような腰まである銀髪は自然に下ろされ、美しい碧眼でレクシアに微笑みかけたのは、雰囲気こそ変わっているものの見間違えるはずはない。

 ハラルだ。


「ハラルちゃーん!」

「あ、ちょっ」


 涙を流しながら抱きついてくるレクシアに動揺しながらも、ハラルはため息をついて頭を撫でる。

 その顔はどこか嬉しそうだ。


「でも、死んだんじゃ……」

「死にましたよ。あのクソ悪魔に槍を刺されましたからね。でも、死んだのはこの世界へ降りる時に使っていた体ですから」

「使っていた体?」

「私たちのような神々は、地上に降りる時は仮の体で来るんです。その世界に合うように。だから、私は死んだけど死んでないんですよ」

「え、でも仮の体が死んだってことは」


 そこまで言ったところで、ハラルがレクシアを抱えて大きく飛び退いた。

 次の瞬間、その地面が見えない風によって抉られる。


「ふはは! 改めて聞こう。貴様は何者であるか」


 コラールは口の端から血を流しながらも、笑いながらハラルへ問掛ける。

 ハラルはレクシアをそっと下ろすと、笑みを浮かべてコラールと目を合わせ、こう答えた。


「女神様」


──────────────────────


ハラル Lv.unknown


ステータス

筋力:3086

技量:1152

敏捷:896

耐久:1705

魔力:1456


スキル

女神転生

地上での能力の低下。

天の衣

魔法の無効化、物理攻撃への耐性。

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