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第1話 虹の疑問。

 ぼくが、瀬戸 虹だということは知っている。今年で中三になることも、虹という字が(にじ)ではなく(こう)と読むことも知っている。また、自分のこととして知っておかなければならないことだ。

 でも。

 ぼくが今どこに居るのかは知らない。知りたくても、ここがどこなのかを知る手掛かりすらない。

 『何もないところに居る。』これが一番適切な答えではないだろうか。

辺り一面真っ黒で、所々にぽつぽつと光のようなものが見える。まるで、黒い布に白いゴマでもまいたかのようだ。

 それ以外何もない。でも不安ではなかった。一つ一つの光が、ぼくを不安から取り除き、励まし、優しく包み込んでくれているようだったからだ。

 なんかおかしい。こんな地球のどこのあるのかも分からないようなところに居るのに、こん なにも安心していられるなんて。今にも笑い出しそうだ。

 『君は今、宇宙に居る』

 ……いきなり聞こえてきたこの声に、ぼくの安心感はいっきに打ち砕かれた。それと同時に不安という名の気持ちが押し寄せてきた。さっきまで笑い出しそうだったぼくはどこに行ってしまったのだろう。

 それに、宇宙ってなんだよ?ここは、地球じゃなかったのか?

 確かに、上下左右とも真っ黒いのは夜空だといえるし、小さな光は、星か惑星だともいえる。ここまでは、完全なる宇宙だ。疑り深いぼくも認めよう。

 だけど、ぼくは今地面らしきものに立っているんだぞ!これって、おかしくないか?いや、聞くまでもない。おかしい。おかしすぎる!

 『君は馬鹿ではないようだな。人の意見に飲み込まれない。たいしたもんだ。褒めてやろう。だが、ここは地球ではない。また、重力がある惑星でもない。宇宙に君は居るんだ。』

 また変な声が聞こえてきた。さっきと同じ声───地の底から這い出てきました。とでも言いそうな不気味な声。しかも、ぼくは宇宙に居るだと、さっきより詳しくいってきた。

 ……まったく、ふざけないで欲しい。第一、さっきも言ったようにぼくは今立っているんだ。宇宙という無重力空間の中で立っていられるはずがない。第二、これが最も大切な事なんだけど、ぼくは生きている。宇宙には空気がない=生物は生きていけない。という式からも分かるように、生物であるぼくが宇宙空間で生きている事自体不可能に近い。近いと書いたのは、宇宙服を着ている場合だと思って欲しい。もちろん、ぼくは宇宙服を着ていないし、今息をしているのでここは地球だということが証明される。(こんな文章になった事を、許して欲しい。なんせ、昨日塾で証明を復習ばかりなのだから。)

 だから、ここは地球なんだ!間違いない……?えっと……。

 ……あれ?おかしいな。さっきから聞こえる声に反論していたせいで気づかなかったけど、この不気味な声はどこから聞こえてくるんだ?それに、何でぼくが考えている事が聞こえるんだ?

 『ぶはっ。あんたの考える事っておかしい。』

 「え?おかしいって何でだよ?」思わず言ってしまった。

 『だってよ、怒って宇宙について語り出したと思ったらさ、突然冷静になって、状況分析はじめんだもん。普通、どっちかにするだろ。』……言われてみればそうだ。

 黙ってしまったぼくに不気味な声が言った。

 『ほらほら、状況分析が好きな虹くん。もっと他に疑問に思うことはないのかい?』思うことって言われてもな…。

 とりあえず、ぼくは考えてみることにした。

 「………。」

 すぐに何個もの疑問が浮かんできた。


 何でぼくの名前を知っているのか。

 何でいきなり、不気味な声の口調が変わったのか。

 不気味な声の持ち主は?

 何でぼくが思っていることが分かるのか。

 さっきも思ったけど、この声はどこから聞こえてくるのか。

 そして、一番重要な事、ここは、どこか。



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