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パラレルユニバースオンライン~コミュ障女子高校生のリア充への道~  作者: 月輪林檎
コミュ障大きな決断

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歌の力か浄化の力か

 それから一通りクレーターの表面を調べて行ったけど、本当に何もなかった。見つかるのは隕硝子だけだ。フォルティさんは、何かしらに使えるかもしれないという事と紛らわしいという事で全部拾い歩いているみたい。


「まぁ、何かあったら、過去の人達が持って帰って調べてるよねぇ……」

「そ、そうだね……」


 私達が見つけられるものをその手の専門家達が見落とすわけがない。だから、調べたところでここに怪物が落ちたことくらいしか分かるはずもなかった。


「それじゃあ、リラさんの歌が効果あるか確認してみようか」

「あ、う、うん……」


 私は黒帝からアコースティックギターに持ち替えて、軽くかき鳴らしてから、息を吸う。そして、『昼つ方シンフォニー』を歌う。私の【神聖歌唱】と【神聖奏】がクレーター内に広がっていく。

 私は演奏と歌唱に集中する。演奏による変化の確認はフォルティさんに任せる。


「これって……リラさん。こっち見られる?」


 フォルティさんに言われて、そちらを見ると、クレーターの一部が光っているのが見えた。円形のその光はクレーターの外へと向かって、点々と続いている。

 大きさ的には私が寝転がってちょっとはみ出るくらい。私は背が高いから、かなり大きいと言える。


「怪物の足跡かな?」


 フォルティさんの推測に、私も頷く。歌っているから、言葉で返事が出来ないので、そうした身振り手振りで答えるしかなかった。

 実際、私も怪物の足跡なのではと思ったので、フォルティさんの推測は正しい気がしていた。フォルティさんが歩いて行ったので、その後に続いて歩いて行く。

 ただ急斜面になるので、フォルティさんは先導ではなく、私の背中を押して歩いてくれる。私は歌って演奏しないといけないので、斜面を歩くのはきついところがあると思ってくれたのかもしれない。

 正直なところ、特に登るのにきついという事はなかった。私達が降りて来た方向と違って、こちら側は割と登りやすいので問題はなかったのだけど、嬉しいので良いかな。

 そうして、クレーターの端っこに登った私達は足跡が向かう先を見る。しかし、足跡はクレーターより外に続いてはいなかった。


「あれ? リラさんはここで演奏を続けてくれる? 私はその辺を走り回ってくる」


 私が頷く姿を見たフォルティさんは、クレーターの縁から飛び降りて走っていく。私の歌で光る足跡が、どこかにないか確認してくれる。私が高いところにいれば、下からモンスターが上がってくる事はない。大分急だから登りづらいし。

 この辺りには、空を飛ぶモンスターはいないみたいだし。


(足跡が消えた……歩幅が凄いってわけじゃないとしたら、相手は空を飛べる……足があっても空を飛べるなら、本当に脅威的な存在な気がする)


 今の時代に表に出て来ていない事だけが唯一の救いかな。ただ、私が研究施設で感じていた気配が、この怪物由来のものだとしたら。

 パラユニのストーリーはアルタさんとこの怪物達に関係するようなものっていうのがやっぱり有力だ。だから、こうしてしっかりと調べるのが一番良い。

 そうして私の下に大量のモンスターが集まり、スライムが少しずつ登って来始めた頃、フォルティさんが戻って来て私の下にいるモンスターを次々に屠っていく。


「リラさん大丈夫!?」

「う、うん……あ、足跡はどうだった……?」

「どこにもなかったよ。怪物は空を飛ぶ事が出来るのかもしれないね」

「わ、私も同じ風に考えてた……」


 フォルティさんも私と同じ結論に行き着いていた。普通に考えたら、そこに行き着くと思うから当たり前と言えば当たり前か。

 私はフォルティさんのところに降りていく。フォルティさんは、何故かハラハラしながら見守ってくれたけど、これくらいなら特に問題はない。


「足跡的に……このファージみたいなやつかな?」

「そ、そうかも……あ、足跡の動き方が三角だから……」

「そういえば、確かに変な足跡の付き方だったかも。正直、このフォージみたいなやつも不気味だよね。まるで、クリオネだもん」

「う、うん……」


 頭の天辺が開いている姿は、かなり不気味だ。そこから触手みたいなのも生えているし。


「これが飛ぶのかぁ……シュールだね!」

「え? あ、う、うん……確かに……」


 このフォージみたいな姿をしている怪物が空を飛んでいる姿を考えると、ちょっとシュールに思える。横に向いていたら、ちょっとは宇宙戦艦っぽく見えそうではあるけど、このフォルムだと気味が悪いのは変わらない。


「あっ! 怪物は地下に浸透した……この怪物はすぐに浸透したってことは考えられない?」

「そ、それは……あるかも……?」

「だよね。まぁ、確証がないから何とも言えないけど。でも、一つ分かったね。何でかは分からないけど、リラさんの歌は、怪物の足跡を追えるって」

「う、うん。せ、聖なる力が関係しているのかな……?」


 歌と演奏という特徴を抜けば、私のスキルの特徴は聖なる属性という点だ。浄化作用が怪物の持つ何かしらに反応して足跡を浮き上がらせたという風に考える方が、歌や演奏に反応したというものよりも説明に納得がいく。


「まぁ、あんなクレーターで浄化系の何かを試してみようと思うプレイヤーはいないだろうね。浄化が反応するから、怪物は不浄の怪物なのかもね」

「じゃ、じゃあ……浄化系が特効かも……わ、私も役に立てるかな……」

「寧ろ、リラさんの力が必須かも。皆が戦ってる間に後ろでライブをしたりね」

「え、えぇ……」


 皆が戦っている間にライブをするなんて、本当に出来るのか。そういう問題もあるけど、ライブという言葉に、少しわくわくしている自分もいた。

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