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パラレルユニバースオンライン~コミュ障女子高校生のリア充への道~  作者: 月輪林檎
自らの心を自覚し向き合う時間

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初めてのボス戦は突然に

 シェリアさんとアルシャさんとパーティーを組んでから攻撃する事はなく、常にバフ掛けでどんどんと進む事が出来た。そうして二十分程で、次の街ユートガンマの姿が見えてくる。

 ユートガンマは、ユートベータよりは広い感じがする。まだ街の入口が見えただけだから正確なところは分からないけど。


「さてと、リラ。せっかくだからここのボスを狩るわよ」

「ふえっ!?」


 まだユートベータ前のボスすら相手にしていないのに、ここでボス戦に挑む事になるとは思わず変な声が出た。


「ユートガンマまでのボスは、チュートリアルみたいなものって話だから大丈夫よ。あんたのバフもあるし。アルシャもこのゲームでの戦い方にも大分慣れてきたから」

「リアルの方が忙しくて、近場でしか活動できなかったので、私達もボス戦は二度目です。気楽にいきましょう」

「あ、え、え、あ、そ、その……わ、私は……さ、最初のボスも……」

「ああ、直通組なのね。まぁ、ソロでボスに挑むのは不安が勝るわよね。その武器なら尚のことね」


 魔法楽器である黒帝の攻撃力は、割と高い。それは何となく分かる。でも、ボス戦となると話が変わってくる。ピースフォレスのモンスターはノイズで行動不能状態にする事が出来るけど、ボスが同じとは限らない。だから、一人で挑むのはやめておこうと考えた。

 シェリアさんも同意見だったので、やっぱりやってなくて良かった。


「今は三人ですし、私が正面に立つので安心してください。ここのボスは、大きな猪のモンスターであるアングリーボアです。攻撃は突進しかありませんが、ドリフトもするそうですので、動き回られる前に私が止めます。シェリアが攻撃。リラさんにはバフを続けて貰えると助かります」

「は、はい……」

「それじゃあ、行くわよ」


 アルシャさんの先導で、ボスがいるエリアへの転移場所に来た。

 一つのパーティーが入っていたら入れないという事はなく、それぞれのパーティー毎に一時的に構築されるエリアに飛ばされてボスと戦うという方式らしい。なので、いつでも挑める。

 パーティー単位での移動なので、アルシャさんがボスエリアに入った瞬間に私も移動する。転移したエリアは、広い草原になっていた。その中央に巨大な猪がいた。軽トラックみたいな大きさだ。何か怒っているような表情をしているので、アングリーなのかな。


 アングリーボアは地面を蹴って、こちらに突っ込んでくる。それに真っ向から突っ込んだアルシャさんは、盾を叩き付けつつ踏ん張った。

 まず盾の叩き付けでアングリーボアの速度が落ち、アルシャさんが踏ん張る事でどんどんと減速していく。そこにシェリアさんが次々に矢を打ち込んでいく。このゲームがどこまでリアル寄りにしているかは分からないけど、頭蓋骨をしっかりと定義しているのであれば、頭を攻撃しても頭蓋骨で阻まれる気がした。でも、深々と矢は突き刺さっている。


(頭蓋骨は無視……矢の効果かな? いや、これまで使ってた矢と同じにしか見えないし……あれ? ダメージエフェクトの色がちょっと違う?)


 演奏しながら観察する余裕があって、気が付いた。シェリアさんの矢が刺さった瞬間に発生するダメージエフェクトの中に、少し黒っぽいような色が混ざっている。


「クリティカル判定よ」


 シェリアさんは攻撃の手を緩めることなくそう言う。


「アルシャが最初にやった『シールドバッシュ』で、アングリーボアの頭蓋骨に罅を入れて弱点にしたのよ。相手の運動エネルギーも利用しているのと、まだ弱い部類のボスだからできる事ね。そこに矢を撃ち込めば、必中クリティカルになるわ。まだ運のステータスを伸ばしていないから、大幅にダメージが増えるってわけじゃないけどね」


 私が気になっているということを察してくれたらしい。

 あの黒っぽいのはクリティカルの判定を受けた証として現れるものだったらしい。私が黒帝でノイズ攻撃をしている時には見えなかった。

 常にダメージエフェクトを更新していたから埋もれてしまったとも考えられるかな。とにかく弱点を作り出してクリティカルを確定で引き起こしてダメージを稼いでいるという状態みたい。


 アングリーボアは、何度も助走を付けようとしていたけど、きっちりアルシャさんが正面に立ちはだかっているので自慢の突進攻撃ができないでいた。

 唯一の攻撃方法を封じられて、ずっとシェリアさんの攻撃を受けているアングリーボアは、五分の戦闘時間で地面に伏すことになった。

 レベルが上がり、アングリーボアの素材が手に入る。


「思ったよりも早く終わったわね。リラのバフのおかげね」

「防御力も上がるので、こちらも助かりました」

「あ、い、いえ、おおお役に立てたなら……さ、さ幸いです……」


 私のバフが少しでも役に立ったのなら嬉しい。その想いを込めて頑張って言葉にした。すると、シェリアさんは小さくため息をこぼす。


「あんた、もう少し落ち着いて話しなさいよ。こっちは褒めてるんだから、自信持っても良いのよ」

「リラさんは十分に役割を果たしていますので、堂々としていても良いと思います。心を落ち着けて冷静に。まだ難しいかもしれませんが、リラさんのことを認めている人は少なからずいます。私達も同じです。それだけは、胸に置いておいてください。シェリアもリラさんが喜んでくれると思って言葉にしていますので」

「だ・か・ら!!」


 シェリアさんはまた顔を赤くさせながら抗議していた。アルシャさんはどこ吹く風という感じだ。

 二人からの言葉は、本当に嬉しく思う。それだけに二人が望むような反応をする事が出来なかったのが申し訳なく思ってしまう。


「全く……ほら、さっさとユートガンマに入るわよ。それとももう少しレベル上げしていく? 私達はまだ時間あるけど」

「あっ、あ、え、えっと……そ、そろそろ落ちないと……」


 時間的には後三十分程あるけど、三十分きっかりでレベル上げを終える事が出来るかも分からないので、そろそろログアウトした方が良い。


「まぁ、夕食時だものね。それじゃあ、街で別れましょ」

「は、はい……」


 三人でユートガンマに入る。ユートガンマは、やっぱりユートベータよりは発展している街みたい。ユートベータはユートアルパに近いからかな。


「それでは、色よい返事を期待しています」

「あ、は、はい……き、今日は、あ、ありがとうございました……!」

「はい。こちらこそ、楽しかったです」

「バンド以外でも手伝って欲しかったら連絡しなさい。時間があったら付き合ってあげるわ」

「シェリアもリラさんと一緒に遊べて楽しかったようです」

「アルシャ!!」


 最後までシェリアさんとアルシャさんは同じようなやり取りをしていた。あれでも仲良くやっているから、本当に仲良しな感じなのだと思う。

 まさか知らない人と突発的にパーティーを組んで遊ぶ事になるとは思わなかった。でも、基本演奏しているだけだったから、大分気楽だった。多分、それ以外にも鷲衣さんとの交流が、私に勇気をくれたのだと思う。

 二人は良い人達っぽかったし、ちゃんと鷲衣さんにも相談しないと。

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