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感情希薄なモルモットは二重人格者  作者: 識友 希
第3章「王女編」
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第34話「リダンと読書少女」

ここから第3章中編となります。今日は6話投稿の予定です。

 テストがあったり、多くの人物との接触があったりと、色々と大変だった昨日から一晩明け、今日は学園に入学してから初めての休日だ。それと同時に、今日はナディアへの指導を開始する日でもある。

 午前7時頃に目覚めたリダンは、30分ほどで出かける準備を済ませて寮を出た。その後、ショッピングモールで朝食を済ませてから現在は図書館へと向かっている。


(そういえば、あの王女への指導はどういう風にやるつもりなんだ?)


(あいつのマナ制御がどの程度か見てみないと何とも言えないな。現状でも大体はわかっているが、指導するとなるとより正確に把握しておく必要があるだろう)


(それもそうだな)


(それとあいつの天啓が使えるのかによっても変わってくる。今日はその辺りを調べられれば十分だ)


 リダンもナディアをどうするのか色々と考えているようだ。流石に、無責任に頼みを聞いたわけではないらしい。


 それから数分で図書館へと辿り着き、中へと入る。昨日と同様に、入口付近にある受付には管理人が座っていたが、こちらを確認しただけで特に何も言われることはなかった。リダンもそのまま受付を抜けて図書館の奥へと入っていく。どうやら、基本的には初回だけ呼び止められる仕組みらしい。

 図書館の中はほとんど人の気配はない。まあまだ時刻は8時前だしこんなものだろう。そもそも学園に所属している人間の数に対して広すぎるから図書館内の人口密度は自ずと少なくなる。

 とは言っても流石に無人というわけでもなく、この時間からも何人かは本を探していたり、本を読んでいる姿が確認できた。そしてその人間たちの中に、見たことのある顔を発見する。昨日も図書館で遭遇したレイアという名前の女だ。レイアは部屋の隅の方の読書スペースで静かに本を読んでいた。内容まではここからでは確認できない。

 足音か何かで人がいることに気が付いたのか、リダンの視界の隅にいたレイアが本から顔を上げた。そしてリダンの姿を確認すると、昨日と同様にして恐怖の感情をこちらに向ける。だが昨日と違い、その感情は数秒が経過しても無くなることはなかった。感情が刺さってくることに気が付いたリダンが少しだけレイアの方を向くと、レイアは慌てて本に視線を落とす。

 昨日のアレは気のせいだったのだろか。一瞬そう思ったが、リダンの天啓『感情感覚受信』によって刺さってくる感情が間違ったことはないから、何か理由があるはずだ。まあ、今それを考えてもわかるはずもないし、ジークやエリスのように特別敵意があるようではないから無視しても問題ないか。


 それからリダンは十分ほど図書館内を歩き回り、一つの本を手に取った。そのタイトルは『二重人格の生まれる原因とその対処法』だ。


(ようやくこの二重人格の調査が始められるな)


(そうだな。タイトル的にはあまり期待できそうにないが)


(まあ、この本は普通の二重人格に関する内容っぽいしな)


 単純に二重人格というキーワードで本を探しても、一人の人間の人格が2つに分裂する、といったような内容がほとんどだろう。というか、1つの体に2つの魂が入っているこの状況が異常すぎる。


 実際に発見した本を読んでみたが、その内容は今のオレとリダンには関係のなさそうな内容ばかりだった。何かしらの精神的ショックから自分の心を守るために無自覚に人格を生み出してしまうとか、何かしらの抑圧された感情が第二の自分として生まれてしまうとかそんな内容しか書かれていなかった。やはり、この現状について書かれた物はそう簡単に見つかるものではないみたいだ。オレとしては都合が良いのか悪いのか微妙なところだが。

 二重人格の本を読んでいるうちに結構時間が経っていたようで、いつの間にか時刻は9時30分過ぎ。ナディアとの約束の時間が近づいてきた。

 リダンもそれに気が付いているようで、読んでいた本を納めて出口へと向かう。その途中でまたレイアがこちらを見ていたが、リダンはそれを無視して図書館を出た。


(やっぱりそう簡単には有力な情報は手に入らないな)


(まあいい、卒業するまでは1年ある)


(結構長く見積もってるんだな。最初の頃はさっさと出ていけって感じだったのに)


(不可能なことに文句を言っても仕方がないからな)


(なんだ、オレがいるこの状況を何だかんだで許容してくれてるんじゃないのか)


(そんなわけはないだろう。追い出せるのならさっさと追い出しているところだ。まあ、多少慣れてきたというのはあるかもしれんがな)


 リダンもオレのことを少しずつ認めてきているということだろうか。最初の頃のリダンならば1秒でも早くオレを追い出す方法を探そうとしていた気がする。まあ、どうあれいい傾向なのは間違いない。


(ちなみに1つ聞いておきたいんだが、あのレイアとかいう女は知り合いじゃないよな?)


(知らん)


(向こうはリダンに対して何か思うところがありそうな感じだったけどな。まあ、感情としては単純に恐怖を感じているだけで敵意があるって感じじゃなかったが)


(単純に怯えているだけならば他の雑魚共と一緒だ。あの女が何を考えているのか知らんが、俺には関係ない)


(本気で言っているのか?今日は普通だったが、昨日は少しおかしかっただろ)


(...。あの女から恐怖が消えたことか?原因はわからないが放っておけばいいだろう。雑魚のことをいちいち気にしていたらきりがない)


(まあそうなんだけどな。今度オレに所有権があるときにあのレイアって女に会ったら、少し接触してみてもいいか?)


(好きにしろ)


 リダンは図書館を出た後は訓練場とは別方向に歩き出した。


(どこ行くんだ?訓練場はそっちじゃないだろ)


(ショッピンクモールだ。少し時間に余裕があるから昼食を買っておく)


(ああ、なるほど)


 それからリダンはショッピングモールに寄ってから訓練場へと向かった。

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