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鉄塔のアエネイス  作者: 民間人。
1910年
314/361

‐‐1910年、次代への総括‐‐

 私達が当然に過ごす平和的で民主的な統治は、我が国では西暦1945年の終戦後に始まったものである。その歴史は浅く、それが当然と言われるには歴史的に異例すぎるであろう。戦後の発展は目覚ましく、敗戦を経て継続する国家としては、我が国は恵まれた環境にあったと言える。


 それは、海を隔てた国同士が厳しい対立と緊張状態にある中で、その間にあって軍事的に重要な拠点となり得た我が国の、奇跡的な地理的条件にも由来するのかも知れない。海があり、空があったが故に、陸続きの大陸国家にある緊張状態とも、大きな関わりを持たないで済んだのかも知れない。それは、あまりにも特殊な状況であった。


 例外の我が国が知る術を持たない、陸続きの国同士による緊張状態は、国家間同士に留まらない。国内における緊張状態もまた、深刻さを増していくだろう。


 さて、ここまでの状況を整理しよう。

 例外的な国家であり続けたムスコール大公国は、国内政治の深刻な対立により、政治的な決定が遅れ続ける致命的な混乱状態が続いている。民主的で平和的な政治という、唯一無二の『理想的な』政治体制が仇となり、多くの決定が後手に回ることで、超大国としての地位が揺らぎ続けている。


 一方で、閉鎖的で全体主義的なプロアニア王国では、国内に燻る不満を武力で抑え込んだまま、迅速かつ合理的に、国家全体の方針を決め続けてきた。しかし、国内に燻る不満と不安は、領土の拡大と共に巨大な火薬庫となって、火種が降り注ぐのを待ちわびている。


 個を顧みない強烈な締め付けと、寛容さゆえの混沌。両国の致命的な欠陥を見ると、全ての政治体制が持つ政治論(justice)の不完全性が浮き彫りとなる。それらは国家という巨大な共同体を築く以上避けられない普遍的な課題である。人類は10万年以上の歳月を経ても、この問題について解決策を見ていない。それはこの、ヒトという種が進化の末に得た代償なのかもしれない。


 主な出来事

  旧カペル王国にて秘密結社「大いなるアイリスの者達」結成

  エストーラ、スエーツ大天文塔を建設

  エストーラ、ノースタット国営動物園の開園及び総合生物研究センターを開設

  プロアニア、オースチンの改良機『ナファルガー』を開発。


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